ヒア・ウィ・ゴー・アゲイン ~ライヴ・イン N.Y.
最高に楽しくてヒップなライブ盤。ずいぶん前から予約して買ったわりに、このCDの封を切るタイミングをはかっているうちに聴くのがすっかり遅くなってしまった。ネルソンとマルサリスが組んで、定めたテーマが「レイ・チャールズ」そして若いリスナー向きの売りが「世界的な歌姫ノラ・ジョーンズをフィーチャー!」ときた。カントリーにジャズ、そしてソウルの大御所が名前を連ね、そこに迎えられるのは若さに似合わぬソフトでメロウな声のR&Bシンガー。どの一人をとっても大好きだし、二人ずつの組みあわせでの過去のコラボはいずれも傑作だった。が、全員が結集するとなると、はたしてどんな化学反応が起こるのか。チャレンジ精神ばかりが前に出て、金持ちのクラブマニアが集う夜のライブならではの小難しくて薄っぺらな音楽になってしまっているのではないか。
余計な心配だった。これはもう、朝でも、昼でも、夜でも、いつ聴いても気持ちよくなる極上の音楽。まずはウィントンの伸縮自在にして完璧なコントロールのトランペットの「歌」に酔い、それに即興的にからんでいく渋いながらも洒脱であったかいウィリーのギターとボーカルの「話術」に魅せられる。老練でありながら生きのいい二人に比べると、ノラの声は伸びやかで心地はいいものの表情のひだは少なめで、まだまだ百戦錬磨とは言いがたいが、その若さを見まもる周囲の視線がたとえようもなく優しい。年輪を刻んだ人たちならではの慈しみを感じさせる。こんなふうに「人生の先達」から愛されている娘の息づかいが、次第に聴いているこちらにもどんどんと魅力を増していくように思えることこそ、音楽の奇跡なのかもしれない。みごと。個人的には今年のベスト盤となりそうな予感。
生きていてもいいですか
私はLP時代にみゆきにハマリマシタ。当時、オールナイト・ニッポンのパーソナリティをしていた彼女とギャップを、だいぶ感じた一枚でした。
「うらみます」は文句なく怖いです。
タイトルの、「生きていてもいいですか」は、「エレーン」の中の歌詞の一部にでてきて、彼女の住んでいたアパートで実在にいた人をモデルにしたとかしないとか。コンサートでいっておりました。これもとにかく怖いです。
「異国」は名ドラマの「北の国から」でも話題になった曲。その歌詞が心を揺さぶります。ちなみに同ドラマでは会話の中に「中島みゆきっていくつなんだろ」とセリフで言わせてしまうあたりが、みゆきがまとっていたオーラを感じさせます。
とにかくすごい!
みゆき様の代表作と言っていいでしょう。で☆5つです。
真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)
上下巻とも読んだ上でのレビューです。
今後もコナリーの翻訳作品を読み続けたいので
Amazonで予約して購入。
1年ぶりのコナリー節(&古沢氏節)、
じっくりと楽しく読ませていただきました。
上巻はコナリーお得意の!?スローペースですが、
下巻に入ると一気にペースアップしていきます。
ミッキー・ハラーシリーズ2作目ということで、
法廷がメインの舞台ですが、1作目の「リンカーン弁護士」と比べて
法廷シーンはちょっと少なめ。あれれ、と言ううちに
一気に法廷の終盤シーンに・・・・その辺りの展開は
ネタバレになるのですが、点と点が一気に線となり繋がります。
びっくりするようなドンデン返しがあるわけではありませんが、
複数の事件が法廷での刑事裁判事件と密接に絡み合っていきます。
その辺りの練り込まれたストーリーは「流石!コナリー!」と唸ります。
ハリー・ボッシュもその中の一つの事件の主任捜査官として
登場しますが、いつものボッシュ節は控えめ。
あくまでもこれは「リンカーン弁護士」の物語ということで。
タイトルの「真鍮の評決」の意味は最後の最後で明らかになります。
最後にミッキーが一番の悪玉に迫りますが、そこに至る道筋の部分で
ちょっと納得いかない部分もあったりして、コナリーの最高傑作!とは言えないまでも、
作品を発表する毎にどんどん魅力が乏しくなって迷走してる検屍官とは違い、
一定水準以上に保ち続けているコナリーには脱帽ものです。
でも日本での人気と本の売上げが検屍官の方が上なのは・・・正直理解できん・・・・。
あのくらい人気が出てくれれば、出版社ももっと早く出版してくれるんだろうけどなぁ。
ちなみに本作には新聞記者のジャック・マコヴォイも登場しますが、
かなりチョイ役で、どちらかというと作者に冷遇されています。
日本でのコナリーの次の翻訳本はマコヴォイシリーズ2作目「The Scarecrow」が
年内に出るそうなので(現在翻訳中だそうです)こちらも楽しみに待っていますが・・・
やはりボッシュがメインとなる「Nine Dragons」が本命かなぁ。
来年刊行予定だそうですが・・・長いなぁ。
少しでも早くなるように、角川文庫と翻訳の古沢氏に切にお願いしたいところです。
真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)
3〜4年、待ちました。泣く泣く、待ちました。「リンカーン弁護士」も、映画化したのに、ちっとも公開される気配がないし、
「ナイトホークス」なども映画化されるといわれつつ、ちっとも撮影していなし、翻訳されていないものがまだ4、5冊あるらしいし、
ほんとに、待ちました。
ああ、面白かった!!
法廷物では、「評決の時」や、「推定無罪」「法律事務所」など、一時期どばっと面白いのがでましたが、これも負けていません。
今回は、ボッシュは味付け役に徹していて、ボッシュを愛してやまない私には物足りないと言えば物足りないですが、
いいえいいえ、これはこれで、ハラーの主役ぶりがひきたって、なかなかいいですよ。これなら、ボッシュの扱いも許せます。
後ろの解説を読むと、まだまだ彼らの物語や、コラボレーションが続くそうで、困っています。
半年とか、1年とか、どうやって待てばいいの?
読めば読むほど、先が楽しみにならい、また、元に戻って、「ナイトホークス」から何度も読み返してしまう私です。
CD2枚付[完全保存版]オバマ大統領演説
このCDは、オバマ氏がアメリカ大統領に就任された時に、「記念に!!」と言ってかなりミーハーな気持ちで購入しました。しかし内容が予想を遥かに越えた充実ぶりで、いい買い物をしたなあと大満足。同じタイミングでオバマ氏の経歴・半生が分かる解説や、大統領就任演説が収録されている他社のCDも買いましたが、どちらか一枚買うとするなら、私は迷わずこちらを買います。
オバマ氏の演説の他に収録されているのは、かの有名なリンカーンの「ゲティスバーグ演説」(この演説のみ非肉声)、フランクリン・ルーズベルトやケネディの演説、そしてキング牧師の「私には夢がある」演説と、豪華すぎるラインナップ。キング牧師の演説は何回聴いても感動しますし、感動しながら聴くので、無味乾燥な英語の例文を聴くよりずっとよく記憶にも残ります。
歴史も、英語も、質の高い演説も、熱い信念も学べるお得な一冊!!「完全保存版」に相応しい内容。お勧めです。