鉄道ゼミナール音楽編
向谷実&SUPER BELL"Zによる、国内大手私鉄各社のテーマミュージック集です。
特筆すべきは、16と19で聴けるカシオペアサウンド。
すぐに野呂一生さんの音とわかるギターを聴くと、思わずうれしくなります。
「Train Simulator」に収められていた曲の再アレンジとはいえど、現在活動休止中のカシオペアの演奏が新譜で聴けるのは、何とも得した気分です。
もちろん、全編にわたり鉄道ファンとしても楽しめる構成になっています。
京浜急行のいわゆる"ドレミファインバーター"をベースとした曲(8)には思わずウケてしまいましたし、京阪電鉄の発車メロディーメドレー(14)も待望のCD収録です。
小田急沿線在住としては、向谷さんらしさが感じられる小田急のイメージ曲(6)もうれしく、本当に発車メロディーか列車接近メロディーとして採用してくれないかな、と思ったりします。
向谷さん作の曲は、「向谷節」ともいえる音の使い方が表れていて好きですし、SUPER BELL"Z作の曲は鉄道エンターテイメントとして素直に楽しめます。もっとも、SUPER BELL"Z作の9は、クレジットを見るまで向谷さん作の曲かと思ったほどで、お互いに影響しあいながら作品作りをしているのだなぁ、と感じました。
鉄道ファン向けの作品ではありますが、音楽としてのクオリティも高く、いろいろ楽しめる一枚です。
阪急電車 片道15分の奇跡 [DVD]
原作・脚本・キャストの3つが、違和感無く調和した作品…有るようで、意外に少ないように思います。この映画は、そうした調和が作品に、より多くの温もりを醸し出させている感じがしました。キャストの皆さんは、それぞれに素晴らしいのですが、中でも宮本信子さんは一見の価値有りです。
Train Simulator 阪神電気鉄道 Windows版
梅田〜高速神戸間を様々な種別で走行でき、それぞれに減点方式で試験にチャレンジできます。
制限にしばられずに楽しみたい人には、減点のないフリーモードもついており、自由な楽しみ方ができます。
景色は実写で、加速、減速に伴う走行音も考慮されており、リアルに楽しめます。ただし特急、山陽直通特急、快速急行以外は梅田からのスタートではありません。
阪急電車 (幻冬舎文庫)
一つ一つのエピソードは、ごくありふれた、よく掲示板で話題になるような身近なものです。
出てくる人も、どこかで会ったような人ばかり……あ、おばあさんはちょっと違いました。
観察されている人も、どこかで見たような困った人たち。
起こるトラブルも「あるある」といったものばかり。
思考の流れやちょっとしたトラブルも、一駅で決着がつくような浅いもの。
でも、半年後の折り返しとあわせてみると、すべての登場人物のエピソードが微妙に絡み合いながら、表面的なエピソードの背後にある何かが浮かび上がってきます。
電車で目の前に座った乗客を見るともなしに観察するうちに自分の生き方を少し深く考えてしまう……といったような深みにはまります。ゆきずりの人たちだからこそ、普段は見ずにすませている何かをズバっと見せてもらえてしまう感じです。
話の舞台が東京だと、これは成り立たないかもしれない……とは思いました。関西の、神戸の、阪急電車ならではの雰囲気なのでしょう。
読後感はすっきり爽やかに終われる小説です。