マルコヴィッチの穴 [DVD]
個性的で実力派の名優ジョン・マルコビッチの頭の中に十五分だけ入り込み、彼の視線で世の中が見られるという穴を見つけた夫婦の物語。
とにかく設定が奇抜だし、シュールだし面白い。
誰もが他人の頭の中は興味がありますが、それが(映画の中でもマルコビッチはマルコビッチ本人が演じています)本物のマルコビッチの頭だったら。いいですねえ。対象が彼だからいい。
監督は相当マルコビッチが好きなんでしょうね。
穴に入ることが癖になってしまう主人公とその妻、やがて評判を呼び入場料をとって商売を始め、穴に入る人間の行列ができてしまうくだりは面白いですよね。
カメオ出演している俳優陣も豪華です。
マルコヴィッチの穴【字幕版】 [VHS]
もし僕が僕じゃなくて、有名な俳優に生まれていたら、僕の人生はどうなっていたんだろう?
もし人間の身長がもっと大きければ、建物の大きさももっと大きかったんだろうか?
授業中に窓の外をボーっと眺めながら、暇な脳ミソをそんな疑問で遊ばせていた人にお薦め!
つまり、これは「日常を異化する発想」に彩られた映画です。
僕たちが通常、「絶対」だと思っている事柄や状況も、決して自明ではないんじゃないか。
そんな疑義が語られているからです。
ならば、「ありえたかもしれない別のバージョン」を考えてみよう、というのがこの作品。
そして、もうひとつ、全編を通して一貫している要素は、登場人物がみんな「操られ/踊らされている」ということ。
人形使いクレイグ・シュワルツは、映画俳優ジョン・マルコヴィッチを操り、その肉体を使って人形を操る。
そのクレイグも、愛する女性マキシーンに人生を操られる。
マキシーンは、1回200ドルで「15分間のマルコヴィッチ体験」を商売にし、物好きな民衆が群がり、踊らされる。
そして結局、珍騒動に人生を掻きまわされる彼らは、奇妙な一つの「穴」に翻弄されているのだ。
設定やその仕組みの細かい説明はされませんが、そこで整合性が取れていないなどと文句を言ってはいけません。
そんな違和感はコミカルな描写が霧消してくれます。
あとは、漫画でも見るような気分で楽しみ、監督や脚本家の意図を自由に深読みしてみましょう。
映像としては、操り人形や、飼い主の言葉をただ繰り返すオウムなどが象徴的に登場するので、作品のコンセプトを探る手がかりになるはずです。
戸惑いつつ、1週間後くらいにもう一度観たくなる映画でした。
Being John Malkovich
深く考えると気が狂いそうな、面白いお話に興味
ありませんか? 今の自分に不満を感じて、他人に
なりたいという願望がありませんか? そんなノリ
の楽しいお話。 あるいは、他人になることによっ
て、本来の自分を見つけることができるかもしれま
せん。ただ、のめりこみすぎると自分を完全に見失
うことになります。敢えて、こじつけるとこんなメ
ッセージが隠されているのかも。
なんとなく不気味なので、繊細すぎる人には不向
きかもね。