幼児性愛―狂気するペドフィル犯罪
幼児を狙った殺人から売春の斡旋、監禁や汚職など
様々な形で幼児性愛という病がからむ十近くの事件の詳細が
載っていて、「幼児性愛の歴史」といった趣になっています。
幼児性愛者の心理などにはあまり触れませんが、
事件を淡々と綴るだけでなく、ひとつひとつの事件に対して
著者の分析や問題点の提示なども含まれているので
幼児性愛という病について真剣に考えながら読み進めることができました。
愛と狂気と死の物語―ラテンアメリカのジャングルから
クレオールは北アメリカでジャズの誕生に重要な役割を果たした。彼らの複合文化はさまざまな芸術分野で化学反応を引き起こし、花開いた。本書に収められているキロガの短編もそのような複合文化の結晶といえるのではないか。
タイトルにあるとおり、これらの小説の主役は密林であり、大自然である。添え物に過ぎない人間は、しかし、未知の暗闇に翻弄される姿が的確に描かれる。
本書を読んでいて、芥川龍之介を思った。芥川の描く今昔物語の世界が、キロガの密林なのだ。「一粒のダイヤ」のとぎすまされた鋭い描写は、芥川を彷彿とさせる。狂気に陥りかけ、服毒自殺した芥川と、不幸を背負い、同じく自ら命を絶ったキロガ・・・・・どちらも子供向け文学にも長じていた同時代人だったというのは偶然の一致というものだろうか。
良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖
本当の恐怖は、その存在そのものを認識できないことである
残念ながら、良心をもたない人たち(=サイコパス)はそのような存在だ
しかも思った以上に多く、思った以上に見つけにくい
この本は、そんな人たちを解説する
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自分自身がサイコパスではないという保証はどこにもない..
そう気がつくと、さらに恐い..
嘆きの歌/パーセル:歌曲集
パーセルをカークビーが歌う、イギリスイギリスのパーセル。歌詞の繰り返しの多い節を、微妙なニュアンスを変えながら歌っています。「狂気のベス」は、物語を語るように「嘆きの歌」や「ばらの花より」は甘ーく歌いあげています。最後の「夕べの賛歌」は、さすが、王室の礼拝堂オルガニストだったパーセルの名曲。通奏のオルガンが同じ旋律を下降している三拍子が何とも気持ちよい。一日の終わりに夕日を見ながら、何度でもききたくなります。
狂気の沙汰も金次第 (新潮文庫)
『夕刊フジ』に連載されたコラムを一冊にまとめたもので、単行本版では一部が割愛されていた山藤章二画伯のイラストも、こちらにはすべて収録されている。
イラストに書き添えられた文章との対話的な部分もあり、SF作家のエッセイ類はどれも面白いが、中でも特に楽しい一冊。
30年前のものだが、今でも古びていないどころか今を先取りしているような部分もあり、その一方、懐かしさあふれる部分もあったりで、読ませる。
同紙のこのコラム、よほど好評だったらしく、この後シリーズ化され、他の筆者による同シリーズのコラムのイラストの多くを山藤画伯が担当したり、筆者にSF作家が何度も登場したりしている。