R35 Sweet J-Ballads
どれも素敵な曲ばかりで、結構恋愛の曲が多いです。「シングルベッド」や「もう恋なんてしない」のような失恋の曲や、「愛が生まれた日」のような永遠の愛の曲が収録されています。自分はまだ十代なのですが、それでもいいと思えます。
WE ARE +FINAL BEST
ジャケットが完全に「遺影」な件。
ジョン・レノンや清志郎のように、本人はいなくなっても生き続ける音楽がある一方、
本人はちゃんと生きているのに、音楽は死んでしまう、ということもある。
ファン、というよりヲタのご機嫌取りばかり繰り返して、
己の表現に責任を持たなかったバンドのさびしい最期。
弔問客のはけた後、ひっそりと枕元で故人を偲ぶ。
そんな気分で聴き入るのがもっとも似合うかもしれません。
JAYWALK SUPER BEST
ミディアムロックの骨太さと、爽やかでセンチメンタルな旋律が同居する楽曲たち。一方知久氏の紡ぐ歌詞は決して粗暴さを見せません。分別を知る男の背中で、悲哀の行間や男らしさを描きます。それを実感として吹かせるのが中村氏の紳士的な美声ですね。ことばや風景の色温度を誠実に伝えてくるようです。大人の恋や、男親としての姿など、JAYWALKの音楽は大人にこそ染みてくる景色があるのです。
この中村氏の歌声は本当に素晴らしく感じています。驕りのない非常に実直な音色でありながら、それゆえのジェントリーなセクシーさも備える歌声だからです。またしゃがれた表情にはブルース・スプリングスティーンにも見合う雄々しさをも持ち合わせつつ、しかし力で解決してしまう音楽は鳴らさず、静かな確信と気迫で心を動かす歌声表現です。そして、やはりどこかに切なさや儚さを抱えた男の心象を伝える奏で方なんですよね。
まるでそれは、男というものを成す様々な要素を分解してゆき、最後に残った男の優しさそのもののような、品のある深い声です。また一方では様々な酸いも甘いも経験してきた説得力や、落ち着いた眼差しを感じさせる声だと思うのです。だからでしょうか、齢を重ねた今こんなにも心の奥のほうに中村氏の声とことばが届くのは。
歌声にばかり割いてしまいましたが、アーシーなロックサウンドの雄々しさ、メロディの切なさ、そして信義を裏切らない歌詞と歌声、JAYWALKはバンド全体から伝わる誠実な歌心が本当に素敵です。