新・人間交差点 [DVD]
本作は、矢島正雄・弘兼憲史の『人間交差点』の新ストーリーとして、内海隆一郎の小説『翼ある船は』を織り交ぜながら再構成されたNHKの人間ドラマ。収録されている各回のタイトルは以下の通りである。
第1回 引退記者のファイル
第2回 赤ひげの歳月
最終回 翼ある船は
物語は、かつて新聞記者であった孤独な老人の寺嶋由次とその姉の孫娘で大阪で新聞記者をする富岡マリエとの出会いから始まる。当初、そりの合わない二人だが、様々な人々と向き合う中で現在と過去を通して多くの「感動」を紡いでいく。
しかし、最終回のカーチェイスだけは全くもっていただけない。いくら「岸壁の母」へと至る伏線とはいえ、せっかくの物語が少し浅薄なものに思えてしまった。また俳優に関しても、仲代達矢はともかく、佐藤江梨子と黒田有は、必ずしもベストの人選ではないような気がする。いわゆる「社会派」の重厚な素晴らしいドラマだっただけに、もう少し完成度を高めてほしかった、というのが私の率直な感想である。