文豪の味を食べる ‾作家・落語家・芸能人・画家・音楽家が愛した店‾ (マイコミ新書)
まず、著者の博識に驚く。45人もの作家、文化人の食に関して、さまざまなエピソードが紹介されており、文学好きならその面だけでも面白い。
文豪や文化人が通った店という基準のセレクトだが、それらの店が必ずしも現代の基準から見ておいしいというわけではないだろう。その場合、だめなものはダメとはっきり書かれている。ただ、味だけを基準にしたグルメガイドではなく、雰囲気や接客などにも触れられいるので、味はたいしたことなくても、あの文豪が通った店なのか、という具合に雰囲気を楽しむという使い方の参考になるだろう。グルメガイドというより、歴史文化を踏まえた街歩きガイド、という面もあるので、街歩きが好きな人にも楽しめるだろう。
こでまり抄―久保田万太郎句集 (ふらんす堂文庫)
俳句を自分の「余技」あるいは「かくし妻」という万太郎の句集。
俳句というものは、ひょっとすると「余技」としてやったほうがよいのかもしれない。
そう思わされてしまうほど、万太郎の俳句は深く広い。
「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」なんて重い俳句があるかと思えば、「四月馬鹿朝から花火あがりけり」なんていうすっとぼけた俳句もある。
小さな書店ではあまりお目にかかれない本ですが、是非手にとって、ゆっくりと味わってみてほしい句集です。
ちなみに、物理学者の寺田寅彦さんも俳句がとってもお上手です。
こちらも「余技」として、力みのない俳句を詠まれています。