ご近所美術館 (創元クライム・クラブ)
ミステリーでは連作短編集が大好物の私にとってとりあえず及第点の楽しいミステリーでした
主人公の海老のんが最初は館長のいれてくれるコーヒーと癒される空間で通い始めた、とある漫画家記念美術館
第一話でその館長が、川原姉妹の妹から姉へとめまぐるしく交代しさらにその姉が海老のん好みの美人ときて常連として定着してしまった中、美術館で見聞きする謎を姉にアピールする目的?で次々推理していくわけですが、ライバルや姉の元婚約者も登場し恋はなかなか進展しません・・・
ミステリーとしては第2話以降は面白かったです
殺人事件あり、暗号あり・・はては美術館事態が泥棒に入られる話ありともりだくさん
得に美術館の常連の元警察官の父が娘から出された暗号?のようなものを海老のんの協力で解いていく話が好きです
父娘の今後?がなにげに気になりました
どれも短編としては丁寧な作りで交換が持ててました
第一は序章みたいなもんだからあんなものでしょう
キャラクターも妹のあかねぶーやコンビニのオネエ言葉店長など他の登場人物も個性豊かで楽しめました
ただ女性の立場で一言いわせてもらえば、妹のあかねの描き方があまりにも容姿に関して酷いかなということと海老のんが美人の姉に夢中になりすぎているのが結局男は容姿でしか女を見てないのかという気分に物語を読むたびにさせられてすごく露骨だったからなんかなあとそこだけがちょっと・・ということで★はひとつ減らしました
だって性格なら明るくて気のいいあかねぶ〜の方が断然いいですもん
姉は男性に対して態度をはっきりしないので(単に容姿で得してるだけだろ〜)何?って感じです
海老のんが文中あかねをデブでオタクでメガネでとことあるごとに表現しているのがNG
少々不愉快になってしまいました
長安牡丹花異聞 (文春文庫)
題名をみておわかりの通り、中国を舞台とした時代小説の短編集です。
文章に冗長なところはないのですが、どことなく気怠るい雰囲気も漂います。
なかなか明かされない謎が絡むからでしょうか?
それとも艶ややかな美女のせいでしょうか?
とは言いつつも、作品ごとに趣向が異なります。
私は表題作に一番惹かれましたが、「殿(しんがり)」という作品の、最後の方にある場面は一幅の絵が想起されて~これもまた楽しめました。
中国の風物が今ひとつな方でも、食わず嫌いせずに挑戦してみてください...これから訪れる秋の夜長に...
琥珀枕 (光文社文庫)
昔の中国を舞台にした妖怪ものの短編集。
妖怪もの、と言ってもおどろおどろしい内容ではなく、人間の性(サガ)を様々な角度から捉えて浮き彫りにしたドラマである。
長寿・金銭・権力・愛憎……。
永遠のテーマとも言える人の持つ欲望の数々を、妖怪ネタとうまく絡ませて、どの作も見事に描出していると思う。
稚拙な表現だが、「ひょっとしたら、欲そのもの=妖怪と言えるのかもしれない」と思わせるほどの奥深さがある。
文章もすっきりしていて読みやすく、無駄のない表現が、逆に物語に重々しさを与えているような印象さえある。
個人的にこのような日本語は好きだし、手本にしたいような良質さだ。
久々に、他の作品も読んでみたいと思った作者に出会った。