雷桜 メモリアル・エディション [DVD]
時代劇と思って観たら、メルヘンだった。心が安らかになるメルヘン。
さらわれて山で野生児として育ち、その後生家に戻るも村の生活に適応できないヒロインと、母から愛されなかったというトラウマをかかえる病弱な将軍家の若殿。決して結ばれるはずのない二人であるが、お互いの欠落を埋めるように引き寄せられ、そして運命が二人を引き裂いてゆく。
よくあるありきたりのストーリーかもしれない。だが、映像の美しさ、そして蒼井優と岡田将生の演技が、ありきたりのストーリーを輝くものとしている。村祭りのなかで、二人が見つめあうシーンは美しい。欠落をかかえた二人がその欠落ゆえに惹かれあう様子が、心を打つのだ。そして、月並みだけど心あたたまるラストシーン。疲れてストレスをかかえている人、心に安らぎがない人、そんな現代に生きる人たちに元気を与える映画である。
なお、この映画を時代劇として観る人は評価が低くなるでしょう。時代劇としては、リアリティが薄いから。でも、メルヘンとしては秀逸です。心に欠落を抱えて生きる人たちへの応援の歌、ではないでしょうか。
うぬぼれ刑事 DVD-BOX
お互いに役者、脚本家として信頼し合っているであろう、長瀬智也×宮藤官九郎の最新作!
今回、宮藤官九郎は演出も担当。 過去の「池袋〜」「タイガー〜」という名作に比べると、
ゲストも豪華ですが、過去のクドカンドラマのヒロインが多く、万人受けというよりは、マニア向けドラマな気がします…
が!クドカンの小ネタも相変わらず。長瀬智也もイキイキとしていて、いいです!
中島美嘉が衝撃の主婦役だったり、歌舞伎界から大御所、坂東三津五郎が登板!
クドカン作品に違和感なく、いい感じに馴染んでるのも見所!
また、次も長瀬智也×宮藤官九郎コンビで新たな作品が世に出るのを楽しみにしてます。
雷桜 スタンダード・エディション [DVD]
蒼井優が今までに演じてきた役柄には、主役から脇役に至るまで、不思議と忘れられないキャラクターが多くて、当然の結果として、私は蒼井優という女優のファンになったわけです(個人的に好きなキャラクターを無理やり3人挙げるならば …『フラガール』の紀美子、『百万円と苦虫女』の鈴子、『花とアリス』のアリス かな)。
この映画で彼女の演じた“雷(=遊)”も、彼女らしく、個性的でエキセントリックな役柄ですが、純粋で、自由な、まるで風のようなキャラクターは、まさしく彼女にぴったりの役柄で、最高に魅力的です。
彼女が演じてきた多くのキャラは、もちろん恋愛もしていましたが、決してそれが全てではなかった。他にも悩みや楽しみのある女の子の人生そのものを、可愛らしく等身大に演じきることが、彼女は多かったと思うのです。
だから、雷のように、恋愛に全てを殉じるような、そんな女性を演じるのは、彼女にとってすごく珍しいことで、そんな純愛映画の蒼井優を、私は見たかったのかも知れません。
映画の内容を簡単に言えば…
決して結ばれることの叶わない二人が、短い間にせよ深く愛し合い、別れていくという、純愛ストーリーです。題名にあるとおり、桜の花びらのように、はかなくも散ってしまう二人の恋なのですが、あたかも桜の樹が深く根を張るように、二人の愛は決して死ぬことはなく生き続けるのです。
とにかく切なくて、美しいお話なわけです。とりわけ、蒼井優と岡田将生の二人のシーンで、美しいシーンの多かったのが、印象に残りました。
歌舞伎界の家系・役者 梨園のひみつ (Book of dreams)
歌舞伎役者の系譜は襲名披露の時、どういう順番に「出世魚」するんだ?といまいち飲み込めていなかったのですが、この本にはそういった「家」の系図がわかりやすく書かれていてよいです。
現在活躍している、若手と有名な役者さんについてプロフィール得意な演目など紹介されています。コンパクトにまとめられていて初心者は重宝するでしょう。
ただ残念なのは、あきらかに女性向けの本の作り。表紙紙が桜色では男性は手を出しづらいのでは?内容も女性を意識して書かれている傾向にあります。
ただ、歌舞伎座(私はいつも一幕見)のお客さんを見ると圧倒的にマダムが多いんですね。「成駒屋!」と声をかける芸に厳しいおじさん達が3階席や一幕見には多いですけれど。
男性のファン層をつくるような、こういったてごろな解説本があるといいですね。だから星4つ。
とりあえず、女の子がこの本をもって、彼氏をさそってデートなどいかがでしょうか。