カラー・オブ・ハート【日本語吹替版】 [VHS]
ジュブナイルSFのテイストあふれる佳作。病んだ現代社会に嫌気がさした内気な男子高校生が、テレビの再放送白黒ファミリー・ドラマの世界にタイムスリップしてしまうというお話。本作のツイストは、ジャックならば無条件で礼讃するであろう古き佳き時代がらじつは単一の価値観に支配された、個人に自由のない退屈な時代だったのでは、という視点が導入される点にある。自由を望むなら、暴力や差別、渾沌もまた受け入れなければならない、と作者は静かに主張する。この認識はもちろん正しいし、そりゃ今さら おれたちはシンプルで楽天的だった時代には戻れないし。だがこの手のファンタジーの結末として本作のように苦みの混じったものでなく、フランク・キャプラのスッキリしたハッピーエンドを望むのは無いものねだりかも?この映画では御存知のようにモノクロ画面が段々とカラー化していくというギミックを使用している。そのために全篇をカラーで撮影して、コダックの運営するシネサイト社ですべてのコマをデジタルデータに取りこみ、脱色&彩色加工した。つまり本作は(特撮場面だけでなく)全篇がデジタルデータとして存在する史上初めての実写映画ということになる。なお、昨年 急死した名悪役J・T・ウォルシュの雄姿がみられるのは残すところ本作と「交渉人」だけなので、J・T・ウォルシュ ファンはすべからく観るべし。
ペネロピ (ハヤカワ文庫NV)
名家の令嬢ペネロピは、先祖のせいで魔女の呪いを受けている。
彼女の鼻はブタの鼻なのだ。
人間の鼻を得るためには、彼女と同じ階級の人間が
ブタの顔のままの彼女を心から受け入れてくれること。。。
ペネロピを愛しつつも恥じる両親は、彼女を世間から隔離して育てます。
年頃になった彼女は見合いを繰り返しますが、
彼女の姿を見た人はみんな逃げてしまいます。
あるとき、彼女の写真をとるためにもぐりこんできた男がいて。。。
舞台は現代、ペネロピは25歳の大人の女性です。
外の世界に飛び出した彼女はとまどいつつも、自分で世界を切り開きます。
魔法使いや呪いといったファンタジックなしかけですが
すごく普遍的なテーマを扱っている気がします。
クライマックスは、読んでいる最中に考えていた予想をすべて裏切って、
なおかつ最高だと思える見事なものでした。
おまけのように明かされる、ある人の正体も明かされ方が素敵でした。
かわいくて、おもしろくて、おとぎばなしのようだけど
現実的でもある、素敵なお話でした。
ウォーク・ザ・ライン~君につづく道
映画にはまり、CDも買ってしまったのですが、本当に主演二人の歌はうまい。特に、ホアキン・フェニックス。個人的には、2曲目が好きです。まぁ、映画のタイトルになっている曲ですから、良いのは当たり前かもしれませんが…。
私と同じように映画にはまった方にお勧めのサントラです。
マン・イン・ザ・ムーン~あこがれの人~ [VHS]
10年前にこの映画を偶然テレビで観た時の衝撃といったら!1.こんな大感動作が日本で劇場未公開なんて信じられない。2.主演のリース・ウィザースプーンはただ者ではないぞ。3.映画の舞台となったアメリカ南部の夏の美しさとけだるい暑さが映画を観ている者にも伝わってくるこの不思議な感覚は何だろう?4.こんなに美しいファースト・キスシーンは観た事がない。5.そして10年経った今でもあの感動は少しも薄らいでいない。
1957年、ルイジアナ州のある田舎町にエルビスが大好きなお転婆娘ダニー(リース)と才色兼備の姉モリーン(エミリー・ワーフィールド)は何でも話せる大の仲良し姉妹。ある日、母親の親友一家が近所に引っ越してきた。長男のコート(ジェイソン・ロンドン)はハンサムな青年に成長していた。そんな彼に恋するダニー。一方コートはダニーの姉モリーンと惹かれ合う。恋人を取られたため姉を許せないダニーだが、ある日悲劇が起こり、それをきっかけに2人は仲直りをする。
一見どこにでもある青春映画のように聞こえるかもしれないが、この映画は違う。この映画は人生について語っているのだ。家族愛(親子、夫婦、きょうだい)、初恋、生と死、将来についての不安などの要素がぎっしりと詰まっている。
そしてこの映画をより一層魅力的にしているキャスト陣。特に主演のリース・ウィザースプーンには圧巻だ。当初エキストラで出演予定だったリースを監督が気に入り、主演に抜擢したのは大正解だ。表情豊かな演技はもちろん、体全体でダニーを演じている(彼女は劇中ほとんど走っている)リースはとてもチャーミングだ。私はこの映画を観てリースの大ファンになったが去年公開された「キューティー・ブロンド」や今年公開される「メラニーは行く!」で確実にハリウッド・スターとしての地位を獲得し、日本でもようやく知られるようになった彼女。どんどん有名になって彼女の素晴らしさが知れ渡るのはうれしいことだが、ただのラブコメ女優ではないリースの魅力の原点を私はこの映画「マン・イン・ザ・ムーン」に見出すことができる。
物語もとても感動的なので老若男女、すべての人にこの映画を観ることを勧める。