暁の群像〈上〉―豪商岩崎弥太郎の生涯 (文春文庫)
「龍馬伝」を見て、「岩崎弥太郎のことをもっと知りたい!」
ミーハーな気持ちで読み始めましたが、
その面白さに引き込まれました。
激動の生涯を単になぞるだけでも充分に楽しいですが、
生き抜くための力をどのように自分のものにしていったか?を学ぶためにも
読むべき一冊です。
小説でありながら、
歴史も経済も学べる知的好奇心を満足させてくれるお得な本です。
岩崎弥太郎と三菱四代 (幻冬舎新書)
三菱の成立と発展、危機を物語風に描いており、おもしろく読めて、また三菱のことがわかるようになります。次のようなことが書かれています。
明治5年に明治政府は外国の汽船会社に打ち勝つために、日本国郵便蒸気船会社をつくった。海運業が中心になっていた三菱商会と競争になったが、三菱商会が顧客サービスがよく有利になった。台湾出兵の輸送が必要となり、大隈重信は日本国郵便蒸気船会社に輸送を依頼した。しかし同社頭取岩橋万蔵は三菱商会に台湾出兵に協力させ、三菱商会が国内に回す船が手薄になった所で国内シェアを奪い返そうと考えこの要請を断った。台湾出兵に協力した三菱商会は政府の信頼を得て、大久保利通の出した政府の保護のもとに民間会社を育成する案の保護する民間会社として三菱商会が推薦された。政府の保護のもと、パシフィック・メイル社、ピー・アンド・オー社との競争に勝った。
明治14年に大隈重信が失脚すると、大隈重信の資金源とみなされた三菱商会は政府に敵視され、西郷従道は明治15年に共同運輸会社を設立し三菱商会をつぶそうとした。両者が激烈な競争をしている時に、岩崎弥太郎は明治18年に52歳で胃癌で死んだ。
三菱商会の2代目は岩崎弥太郎の16歳年下の岩崎弥之助である。岩崎弥之助は海運業を見切り、共同運輸会社と三菱商会の海運分野を三菱商会に不利な形で合併させ、日本郵船会社をつくる。上顎癌で明治41年に58歳で死去した。
三菱の3代目は岩崎久弥である。29歳で社長となる。多角的経営方針を継続したが、造船と鉱業を重んじた。鉱業部、造船部、銀行部、庶務部を本社から切り離し、独立採算制をとる。大正5年に空前の収益をあげる中で、52歳で突然社長を辞任した。昭和30年に91歳で死去した。
三菱の4代目は岩崎弥之助の嫡男岩崎小弥太である。三菱合資会社が独立した分系会社の株式を独占することで、三菱財閥の頂点に立つ経営をした。
NHK大河ドラマ 龍馬伝 オリジナル・サウンドトラック Vol.1
満を持しての佐藤直紀氏による大河ドラマ劇伴音楽です。
特筆すべきは、やはりオープニングテーマでしょうか。
弦の刻みと打ち込みのビートによる疾走感と、リサ・ジェラルドの歌声による神々しさが際立つ音楽となっており、今までにない大河ドラマのオープニングに仕上がっています。
その他BGMでも、時代劇にとらわれない自由な音作りがなされています。
たとえば「残炎」。エレキギターのコードによる重々しい音楽です。最近では第3話で武市半平太のシーンで使われました。
「夜明け前」では、前半に女性の歌声が、
「クロノスの刻み」や「標的」などではシンセサイザーによるリズムが使用されています。
メインテーマの変奏である「倒仰」や「海へ」も聴き応えがあります。
個人的にはおそらく弥太郎のテーマである「雑草魂」がお気に入りです。
(あの特徴的なメロディーが面白い)
総じて、従来の大河ドラマ音楽のように純オーケストラの重厚さはありませんが、
佐藤直紀氏の持ち味である「分かりやすさ」「自由な曲作り」が存分に発揮されているように思います。
新しい大河ドラマへの挑戦が感じられる一枚です。
ただ残念だったのが、いちむじんのギターによる紀行テーマが収録されていないこと。
二枚目(あれば三枚目)で収録されることを望みます。