ザ・ビーチ・ボーイズ・ヒストリー~エンドレス・ハーモニー [DVD]
1998年に全米で放映されたビーチ・ボーイズのヒストリー番組をDVD化。DVD化に際して、特典映像やサラウンド・リミックスによる楽曲も追加収録された、大満足の発売だ。1986年に発売された「アン・アメリカン・バンド」にはレア度が劣るが、バックで流れる曲もレア曲が多く、見逃せない。デビュー当時から、現在のビーチ・ボーイズの状況まで2時間弱で一気に把握できる。ビーチ・ボーイズに興味を持って、彼らの足取りについて知りたい人にとっては格好のアイテム。値段が高いかもしれないが、優れたヒストリー番組、素晴らしいサラウンド音源を聴けば、きっと得した気分になるだろう。
ペット・サウンズ (新潮クレスト・ブックス)
ビーチ・ボーイズおよび「ペット・サウンズ」に対する批評は、本文以上に村上春樹の「訳者あとがき」に巧く、簡潔にまとめられている(ジム・フジーリさん、ごめんなさい)。相変わらず村上春樹は言葉の選び方がいちいち適切だ。さらには本書に対する分析も鋭く、適切である。いわく、「追求はロジカルであると同時に、エモーショナルでもある。本書の面白さとユニークさはそのあたりの「立体性」にあるのではないだろうか」。そして、この訳書の選び方自体が渋く、外さず、ベタじゃなく、“いかにも村上春樹”であって、適切だ。
村上春樹は「サージェント・ペパーズ」と「ペット・サウンズ」の存在意義の、当時から現在にかけての推移について論じている。確かにビートルズ抜きでビーチ・ボーイズを語ることは難しいし、ビートルズがいなかったら「ペット・サウンズ」は生まれなかっただろう。ビートルズがミュージシャンズ・ミュージシャンであることは間違いないけど、「ペット・サウンズ」の奇跡によって、ブライアン・ウィルソンもミュージシャンズ・ミュージシャンたり得ているのだ。じゃあ「ペット・サウンズ」はなぜ、“シンプルでありながら同時に、驚くばかりに複雑”で、“リスナーの心に深くしみ込むアルバム”となったのか。そこら辺の謎を解いていくのが本書の肝だ。もちろんブライアンの才能が前提としてある訳だけど、「ペット・サウンズ」当時のブライアンの境遇のジレンマってのが作品に深みを与えている。つまり「ビーチや海や自動車や若い娘たちについてのヒット・ソングの品質を保たなくてはならなかった。しかしそれと同時に、彼は自らの心情を吐露してもいた」。そして、「ビジネスやら、ドラッグやら、彼の危うい精神状態やら、年若い結婚やら、悩みの種をもたらす厄介な父親やら、そんなあれこれが生み出す問題」ってのが、作品に多くの人が共鳴できる文脈をもたらしたんじゃないかな、きっと。
ビーチ・ボーイズ―永遠の夏永遠のサーフィンU.S.A (KAWADE夢ムック)
すでに知っている情報も盛りだくさんではありましょうが、ビーチボーイズ研究は日進月歩で進んでおり、ファン、ビギナーのどちらも楽しめますね。
中山・萩原・佐野三氏の座談会は「あぁ、なるほど」という新発見がありました。お奨め☆
ビーチボーイズの屈折した歴史は、様々な角度からのファンを強烈に生み出してきた感があり、そういう意味では一人の著者が書く紹介本より、様々な意見を載せたこのような本の方が、初心者はもとより、コアなファンも、より冷静に色々な面が見えて良いのではないでしょうか★
That's Why God Made the Radio
ビーチボーイズひさびさのオリジナル・アルバム。
綺麗で涼しくていいんじゃないかな、聴いてて邪魔にならないし。
流しっぱなしにしてても気持ちいいし、優秀なイージーリスニングアルバムだと思う。
もう少しドライビング感のある曲が欲しかったけどメンバーの年齢を考えるとそれは難しいのかもしれない。
ビーチボーイズをそれほどは知らない多くの人がイメージしているビーチボーイズにきっちり
仕上げたプロフェッショナルなアルバムだと思う。
ただ、それだけに面白味に欠けるのもまた事実。
近年のブライアン・ウィルソンのソロがどれもテンションが高かっただけに
このアルバムにもそれを期待してしまったというのもあった。
とはいえ期待しすぎた分のガッカリ感は確かにありますが、
クォリティは十分に高く、楽しめるアルバムなのは疑いのないところです。