アミスタッド [DVD]
脚本、監督、出演者、配役、どれをとってもはまっています。特に奴隷のリーダー役を演じているJ・ハンスーは、もとホームレスという全く無名の黒人俳優。彼の演技が一番の見所といっても言いすぎではない。俳優ではないがエキストラでもない「奴隷役」たちをも絶賛したい。
アメリカの奴隷制度を題材に多くの作品が世に出ている。これはその中でも一目置くべき作品だと思う。実話に元ずくしっかりしたストーリーであり、この事件以後起こる南北戦争につながる出来事として説得力がある。
ただ奴隷として出演した彼らの演技が、あまりに真に迫ってくるため、観ていてつらくなるのも確か。史実として目をそらさずに見据えよう。
メイキングではスピルバーグ監督を含めて主な俳優陣がこの作品を語っている。これは見逃せない「作品の一部」と言える。スピルバーグ監督が「人間とは何か」がテーマだったと語っていたのが印象に残る。
アミスタッド [DVD]
人間とは何か?自由とは何か?友情とは?・・いろいろな問いかけを含み、深く考えさえられる映画です。
スピルバーグの『太陽の帝国』を見た時、この監督のヒューマンな面を感じました。子ども(次の世代)を大切にする人で、子どもたちに良いものを遺すことを念頭に置いて作品作りをする監督だ、と感じました。ただ単にオモシロイ飽きさせない映画を作るのではなく、人間とは?文明とは?・・という問いかけを自らに発しつつ、より穿った深い答えを映画を通し提供しようする姿勢を感じました。この作品からも、そのことを改めて感じました。
流血の場面も出てきます。「ライオン(のように人間の自由を奪うもの)」を殺す場面があります。映画のテーマを強調するためにはリアルに描くことがどうしても必要だったのでしょう。ですが、ただただ凄惨なものとならないようにする配慮を感じました。(とは言いましても、それはそれは凄いものなのですが・・・)
最後の場面はシンボリックな表現になります。シエラレオネ(「ライオンの山」の意)の奴隷貿易の拠点の要塞破壊のシーンはたいへんシンボリックです。これも『太陽の帝国』のラストシーンを思い出させるものでした・・。
たいへん優れた作品だと思います。歴史・事実を直視するには勇気のいるものですが、親子でご覧になってみるのはいかがでしょうか。感動を共有する良い機会を得られるものと思います。
アミスタッド [DVD]
スピルバーグが監督した歴史映画です。
ETやシンドラーのリストに比べると日本ではあまり有名ではないですが、まちがいなくそれと同等かそれ以上の作品に仕上がっています。
ストーリーのすばらしさはもちろんですが、映像の面でもみせてくれます。特に奴隷船での場面は目を覆いたくなるほどでした。ボールドウィンと黒人奴隷との友情や、言葉がわからないなりにコミュニケーションをとろうとする二人にも心打たれました。そしてそして、最後の最後の裁判所での言葉は最高です、胸がスカーっとしますよ。見ていていろんなことを考えさせられる映画です。