百鬼夜行抄 凍える影が夢見るもの ドラマCD
まず、ジャケットの美しいイラストに、しばらく見入ってしまいました。初回版封入のカードは、ジャケットとは別のイラストで、こちらも美しいです!
ドラマのほうも、実際の収録時間は長いのですが、聴いていると長く感じません。「ドラマCD」はTVと違って、集中しないとストーリーがわからなくなるものですが、これは聴いている人が最初のシーンから「とまどいながらも流れに足を踏み入れ、いつしかそのままラストまで運ばれてしまうよう」な感じです。ただ、私は原作を読んだことがあるので、まったく初めての人が聴いた場合には、わかりにくさはどうしてもあるかと思います。また、話の内容としても、もう少し主人公の律や飯嶋ファミリーを前面に出して欲しかったと思います。
しかし登場人物の声はみんな合っていました!
個人的にはお父さん(青嵐)の井上和彦さんはイメージどおりです!尾白・尾黒もかわいかったし、
これから原作を読むときはあの声を思い浮かべることでしょう!
最後に収録されている、声優さんたちの「怖い話(?)」も
オソロしさ半分・笑い半分でした!
ドラマCD 百鬼夜行抄 第2巻~闇からの呼び声~
今市子さんのファンなのでコミックスを読んでる人ならどこから聴いてもいいとは思いますが、2巻の方が一番始めの方のエピソードなのでこっちから聴いても善いかもしれません。主人公の律(石田彰)も1巻よりよく出てくるし、青嵐(井上和彦)がお父さんとして暮らしてる原因も組み込まれていて、コミックスを読んでないと、一寸分りにくいかも知れませんが、あの複線だらけのストーリーを聞き物として良く脚本がまとめられていると思います。司ちゃん(冬馬由美)の痣のストーリーが主だと思うのですが、1巻にも出てくるキャラクターなので1巻の感動的なお話がもっと分りやすいと思います。おまけのチョット怖い話も1巻に引き続きあって声優さんの生の反応が微笑ましいトークで得した気分です。あんまり怖くないけど・・・。
ドラマCD 百鬼夜行抄 第3巻~不老の壺~
今市子、百鬼夜行抄、石田彰ファンの人は購入する価値有り。
原作重視の読者には、余計な説明的台詞が疎ましく感じるかもしれませんが、原作を知らない人が聞くことを考慮すればとてもわかりやすいドラマCDです。声優さん達のすばらしい演技で迫力のある物語になっているし、今市子さんの作品特有の品もしっかり存在しています。
台詞と音楽と効果音だけでは表現しにくい情景も頑張って作られているけど、怖い部分だけでなくりっちゃんや青嵐とうさんなど飯嶋家の人たちもしっかり出張っているので安心を!
声優さんたちのこわ~い話しも楽しみですよ。
大人の問題
聴くまでは、漫画のイメージとどれぐらいずれているのか不安でしたが、読みながら頭の中でイメージしていた声とほとんど同じなので、びっくりしました。直人など恐ろしいほどそのものずばりです。
しかもセリフは漫画どおりです。絵がないぶん、何か説明を足さなければいけないのかと思っていましたが、それが全く必要なかった。
つまり今市子さんのネームというものは、何も足すことなくキャラクターも状況もすべてを言い尽くしているのですね。聴いていると、そのイントネーションで、記憶の中の絵の表情までヴィヴィッドにたちあがってきます。ここまでネームがすばらしい作家さんだったのだと、知りました。(絵がうまいだけに絵が主力のような気もしていたのです)
さて、ほとんどの役が自分の脳内の音声と同じだったと書きましたが、唯一の発見は、海老悟郎です。ひとくせもふたくせもある屈折した、したたかな感じを、関俊彦さんが演じていて、「病的な嘘つき」と作中で言われているのがなるほど、と腑に落ちました。彼の場合、顔がきれいなだけに、もっと内心を読ませない細くて澄んだ声のような気がしていたのですが、音声ドラマでは表情がないので、内心まで声で演出してえぐりださなければならないのだな、と。
で、彼の存在感は、漫画よりずっと大きくなり、主役になってしまったようで、彼のファンとしてはさらに新たな魅力を発見できて嬉しいです(研修所の原嶋さんに会いにゆくくだりなど、彼のいじらしさの出ているエピソードは今回省かれていますが)。
それにしてもこの名作ドラマ、こうであるべき、といういろいろな枠が壊れて、家族が解体し、世間体が解体し・・・そして登場人物はそういうものを脱ぎ捨てて、どんどん大きな自分自身になってゆくのが眩しいです。女性陣は特に突き抜けていて、がちがちエリートの海老一お兄さんを自在に改造してしまう由美子さん、幼女ながら家族の真実を見抜いているともえちゃん、悟郎と、直人のお父さんの関係を知って、「なーんだ、問題ないじゃない」と一笑してしまう神田さんなど、ほんとうに鮮やかです。
今市子の強くて暖かい世界の原型のようなこの作品、ドラマCDもぜひ聴いてみてください。
百鬼夜行抄 DVD-BOX
連載開始当初から読んでいる原作ファンとしてはキャスティングに不満がないわけじゃないですが(特に司)、
ともあれこの作品を映像化した蛮勇(笑)にまずは★二つ進呈。
渡辺いっけい氏のアヤシサと、いしのようこさんのほんわかした雰囲気は◎。
八重子ばあちゃんはもうちょっと枯れててもいいかもですね。
30分という時間枠のためかはたまたCG、セット等製作費の問題か、数ある原作群の中でもそう出色というわけ
ではないエピソード(その話がダメというのではなく、もっといい話があるのに、という意味)が
チョイスされているのはちょっと残念です。
原作は一見妖怪ものの体裁をとりつつも「ひとの心の闇に潜むものはアヤカシよりももっと怖いよ」という
隠れ主題を持つ話が多いので、数年後にできればもう一度、今度は一時間枠で、その手のエピソードを
もっとしっかりお金をかけて再ドラマ化希望ですね。
とりあえずDVD-BOX発売はめでたいので、★もうひとつおまけします。