夏至祭 (河出文庫)
「野ばら」に出てきた銀色と黒蜜糖、月彦の「野ばら」とは違った物語・・・
コップを洋杯と書くなどいつもはカタカナで書かれる言葉を漢字で書くことによって話にあった古い感じがでています。また、今では余り見ることがない文字(旧字体、ゐ、ゑ等)が使ってあることによりいつもの見慣れている日本語が不思議と新鮮さがましより幻想的効果を持ってきています。
一場面一場面がまさに絵として浮かびあってくるような言葉の美しさがあります。
そして、同じ本に収録されている多数の短編は他の作品とのつながりがあるものも多いので、他にどのような作品があるのかを知るめやすとしても使えます。
話自体とは関係ありませんが、表紙裏には作者の手書きの文字印刷されています。とても綺麗な字なので凄くよい効果となっています。
青いパパイヤの香り ニューマスター版 [DVD]
淡々とした、でも見所の多い映画。
近年おおくある、わかりやすい、明確な起承転結はあまりなく
ヒロインムイの成長が日常の中に描かれていく。
エキゾチックな世界の、美しい映像がみもの。
ムイちゃんが可愛かったです。
夏至【字幕版】 [VHS]
「シクロ」路線ではなく、「青いパパイヤの香り」と同じ世界です。
しっとりとした映画。3人姉妹のそれぞれの生活、夫や恋人との関係などなどが淡々と描かれます。説明は少し少ないくらいなのに、テンポよくストーリーが進んでいくので、どんどん引き込まれてしまいます。
いつも雨が降っていたような、、、そんな記憶が残る映画です。
もうすぐ夏至だ
学者であり歌人である著者…私もあまりにも違う分野で活躍しておられることに違和感を抱きましたが、どちらも「探究」するという共通点で結ばれているのだと感じました。
亡くなった歌人でもある奥様との残された日々の歌は、淡々としているようで、気持ちを深く静かに沈められるように胸にせまりました。
…とレビューを書きつつ、著者も本書で書いておられる
「…単に美しいと言えば、誰にでも言えるだろうが、しかし、自分はどのように美しいと感じたのかを言うことは、思うほどには簡単ではない。」
という言葉が改めて刺さります。
短歌は今まであまり感心のなかった分野ですが、いろんな歌を知りたいと思いました。
後半は学者である立場からのエッセイが多く「知らなかったことを知り、それを知ろうとする喜び」の楽しさを伝えてくれています。
夏至 特別版 [DVD]
料理にスローフードがあるように、映画にもそのようなジャンルがあるとしたら、
この映画はまさしく、スローなムービーだと思う。艶を含んだパステルカラーの
シルクのアオザイの肌触りや、初めて口にしたフォーや生春巻きの食感といった
味わいの映画である。
三姉妹が母の命日に料理を作る「起」から、母は最期に父以外の名を呼んだという
「承」に移り、不倫・浮気・妊娠といった話題に「転」じていくのだが、そこから
穏やかに「結」ぶあたりが、トラン・アン・ユン監督のアイデンティティである。
村上春樹「ノルウェイの森」の映画が、広報発表では来月からクランクインされる。
このトラン・アン・ユンが監督で、日本人が演じるという。 大いに期待したい。