衆愚の時代 (新潮新書)
「国民の皆様が、国を滅ぼす」というキャッチコピーの通り、「何を甘えた事言ってるのだ!!」という暴論的な提言が続く。
・派遣切りは正しい
・欲望を知らない子供たち
・夢という名の逃げ道
・サラリーマンは気楽な稼業ではない
・まだ株屋を信用しますか?
・非成長時代の身の処し方
・老人専用のテーマパークを作ろう
・弱者の視点が国をダメにする
という章に分かれていて、それぞれ筆者の見解が述べられているが、本当におっしゃるとおり、まさに正論ですかすがしささえ憶えた。
特に彼が嫌っているのは、テレビのコメンテーターと言われる人たち。
彼らがしたり顔で評論したりしている事は、基本的にすべて間違っており、勝手な意見であり、世の中が変わればまったく価値がなくなるのだが、うまく泳いでいくような連中だと言い切っている。
この本読んで一番最初に思ったのが、日本人はサービスはタダだと思っているという事が一番の問題ではなかろうか?という事。
宅急便が2時間おきの時間指定のサービスをしているが、あのために実際の運転手や管理部門などはどんなに苦労をしているか。
あんなすごいサービスなら、別途お金を取ってでもやらないと、会社には金が残っていかないだろう。
こんな事例がありとあらゆる業種で起こってはいまいか。
あと「安いものを求めて」買いあさる風潮。
安いものを作るには、安い原料と安い製造費(人件費)が不可欠。
工場というところは、本当に幅広くいろんな性格・能力の人が働ける場を提供してくれるのだが、日本から出て行かなければ価格競争に負けてしまう。製造業が出て行くと、体でしか働けない種類の人たちは、働く場所がなくなり…とすべて悪循環。
こんな現代の矛盾を大変真っ当な視点から論じられている良書。
久しぶりに皆さんにお勧めする本だ。