Culture of Ascent
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの9th。2007作
1993年のデビューから一貫して幻想的で壮大なシンフォニックサウンドを
つくり続けてきたこのバンド、今やアメリカ最高のシンフォバンドの地位を築き
前作ではロジャー・ディーンによるジャケとともにCD2枚組の大作を完成させた。
それに続く本作も、バンドの円熟さらなる探究心を感じさせる力作に仕上がっている。
曲ごとに男女Voをそれぞれをフロントにして、巧みなシンセワークと、山あり谷ありの
ドラマティックな構成で9分、9分、7分、16分、19分という長曲を飽きさせずに聴かせる。
ヴァイオリン、チェロなどの生のストリングスは説得力のある優雅さをサウンドにもたらし、
古くささのないモダンな重奏アレンジとともに、たんなるプログレ、シンフォというよりも、
もっと普遍性のある美しきドラマティックロックにまで昇華されたという印象だ。
ジョン・アンダースンのゲスト参加という話題性もあるが、それはただの要素にすぎない。
ゆるやかなる音の洪水に心地よく飲み込まれてゆける、これは素晴らしい傑作である。
Cor Cordium
アメリカのシンフォニックロック、グラス・ハマーの2011年作
1993年のデビューから濃密なシンフォニックロックを作り続けてきたこのバンド、
12作目となる本作は、EL&Pばりのオルガンが鳴り渡る古き良きプログレ感触に
前作から引き継いだYes風味がキャッチーに重なる作風で、のっけから思わずにやり。
やわらかな聴き心地で大人の叙情を表現するのは、このバンドならではのこだわりだろう、
オールドリスナーが好むプログレ感覚を、現代シンフォの構築力で再現するセンスは
相変わらず見事と言う他はない。全6曲中、10分以上が4曲と、いつも同様に余裕の力作。
Shadowlands
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの7th。2004作
王道のシンフォバンドとしては恐らく現在アメリカ最高のバンドといってよいと思う。
4th「CHRONOMETREE」において、コテコテの濃密引き倒しシンフォでマニアを唸らせ、かと思えば
続く5th「THE MIDDLE EARTH ALBUM」では中世風トラッドアルバムに挑戦、とやりたいことをやっている。
今作「SHADOWLANDS」は、濃密なシンフォ路線と軽快なメロディアス性が融合されたサウンドで、
なにに近いかといえばやはり「危機」の頃のYESといっていいかと思う。
わざわざ生音にこだわり本物のパイプオルガンを使用したり、ストリングスも生音というこだわりようで、
大変力が入っていながら、さりとてヤボったくなりすぎず、ある意味上手く力が抜けた爽快さが音にある。
If
アメリカのシンフォニックロックバンド、グラス・ハマーの2010年作
1993年のデビューから濃密かつ幻想的なシンフォニックロックを作り続けてきた
アメリカを代表するシンフォ系バンド。前作は女性Voをメインにした作風であったが、
今作では再び以前のYESタイプの路線に戻っている。レトロな雰囲気を感じさせるシンセワークに
キャッチーなヴォーカルメロディで、耳触りのやわらかなシンフォニックロックが楽しめる。
10分超が2曲に、ラストは24分の大曲という力作であるが、濃密すぎない爽やかさがよろしい。