g2 ( ジーツー ) 創刊号 vol.1 (講談社MOOK)
相次ぐ総合雑誌廃刊の折、休刊した「月刊現代」から新たな形で甦った本誌。そのコンセプト、戦略、三位一体の媒体新機軸と、不況が続く出版界でちょっとした話題になっている雑誌だ。
編集者たちは、いずれも週刊誌や書籍での本業を抱えながら、活字(PAPER)媒体でのノンフィクションの未来を信じる。雑誌媒体で連載されるノンフィクションを読む層は決して少なくないと思える者からすると、どんな形であれ、まず興味を抱く“題材”に向き合う事の取っ掛かりとして、この雑誌の存在価値に期待するし、そのスタンスには好感を持てる。
その創刊号、早速読んでみたが、重量感あるテーマ、執筆者が並ぶ。そのラインナップが凄い。「黒い手帖」事件で、創価学会と係争中の矢野元公明党委員長が池田大作の人となりを語り、元ヴェルディ永井秀樹の、かってのスター選手としての華やかさから一転、挫折、苦悩を経ての現在の胸中が語られ、更に、山崎豊子の「運命の人」のモデルであり、昨今の外務省の核密約ともリンクしそうな、外務省機密漏洩事件の当事者西山太吉の妻の37年ぶりの告白、お馴染み柳美里による極私的児童虐待体験談(この表現は不穏当だろうが、相変わらず壮絶かつ痛切な内容)、そして、テルアビブ・ロッド空港乱射事件(又はリッダ闘争)を起こした日本赤軍コマンド3人、とりわけリーダー格であった奥平剛士のパレスチナの地に殉じた一生に、沢木耕太郎のノンフィクション・ライターとしてのインタビューの心積り等々。
骨太で硬派な読み物が多く、ヴォリューム感も十分。装丁、紙質も高級感があり、既存の読み捨てに近い月刊誌との違いを際立たせている。ただ、“今”との繋がりは感じるものの、被写体、事件自身は一昔前のモノが多く、興味を示す対象の年齢層が偏るような印象を受けるが。
ともあれ、ノンフィクションと言うジャンルが持つ底知れぬ面白さと感動、新しい書き手=才能との出逢いの、そして若い新しい世代の読者の掘り起こし(それが、強いてはこのジャンルの活性化につながる)の、その発信地となるべく頑張って欲しい。
Fahrenheit Fair Enough
savath+savalasの「folk~」が最高だったheftyからの、それを上回る傑作です。まず、メロディーが素晴らしい。最近アーティスト単位での差が見えにくくなってきているエレクトロニカだからこそ、こういった「良いメロディー」を大切にしていくべきだと思います。ビートは、少しチープに聴こえる部分もありますが、複雑に入り組んでいて、でもすんなりと耳に入ってきて心地いいです。これは、買うべきです。
Map of What Is Effortless
いやー下手なドラッグより効きますよ。朝これを聴いてたのに気づいたら夜になってたみたいな。
ひたすら時間軸狂わせられるダウンテンポに間を埋めるグリッチやノイズ、そしてなによりjoshとcharleeの産み出す極上のメロディ…それにシンクロするソウルフルなヴォーカルが相性バッチリ!
1stから最初に聴いた人は少し物足りないかもだけど、いやはやしかししかしビート全体にオチをつけるセンスは流石の一言。しかも緻密に組まれてるから(同じパターンがほとんどナイ)全く聞きあきずに最後まで通しで聴けちゃいます。
個人的にat adge〜から最後のsound in the darkroomの流れが大好きです。at edge〜のヴォーカルはどっちが唄ってるのかわかりませんがいい声ですよね〜。
アルバム通して二三曲同じコード進行の曲が入ってるのもポイントだと思います。
それにしてもジョウズデスネって…親日家なのかな?
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
経済学の前提が時として「人間は合理的判断をする」という点に置いていることに疑問を感じてきた。従い 本書の題名を見て すぐに購入した次第だ。
本書から見えてくる人間は「合理的な」動物である。それは著者が展開した数多くのテストの結果で 基本的に著者が「予想した」結果が出ている点を見ても分かる。「不合理な動物」だったとしたら テスト結果はもっとばらばらになっていたはずだ。テストの結果に方向性が出たとしたら それは多くの人が ある種類の合理的な判断に基づいていたからだと考えるべきだと思う。
要は「何が人間にとって合理的なのか」ということだと思うのだ。経済学では時として「人間は一円でも有利な方があったら 当然合理的にそちらを選ぶ」というような話が出てくるわけだが 他の要因があったら「一円不利な方でも そちらを合理的に選んでしまう」ということも多い。
その「他の要因」は 例えば 見栄であったり 善意であったり 錯覚であったりするわけだが そんな「他の要因」をいかに発掘し 分析するのかが 次世代の経済学の一つの課題なのだと強く感じた。
それにしても本書は読んでいて笑える。著者が 書き方に大変工夫して書き上げたことが良く分かり 非常に気持ちが良い。この著者のユーモアには 著者の人間への優しいまなざしを垣間見せるものがある。そもそも 人間への愛情が無い人に「行動経済学」というような学問は難しいのではないだろうか。