父と暮せば 通常版 [DVD]
時は1948年夏、広島。あの忌々しい1945年8月6日から三年。図書館員として働く主人公・美津江(宮沢りえ)は、原爆を研究する青年・木下(浅野忠信)と出会う。美津江はあの日から三年、心にあることを決め生きていた。「恋はしない、幸せにはならない。」ということを。そんな時、あの日亡くなったはずの父・竹造(原田芳雄)が美津江の前に姿を現す。父は美津江が何故そう決心したのかを追究し、娘が幸せを手にするために現れたのだった。
日本人、いや、人類が絶対に忘れてはならない「ピカ」の実像を、コメディタッチの日常から造詣深く掘り下げたのが本作品。宮沢りえと原田芳雄の名演技には手放しで称賛するほかなく、観た者は「あの悲劇は人類に何をもたらしたのか」を切に問われることであろう。
作中、美津江が自身の仕事を「(昔話を)そのまま忠実に子どもたちに伝えなければならない」と表現したように、直接知らない我々こそが戦争の悲惨さを次の世代に語りつくさねばならない時が迫ってきている。美津江の決心の裏側には、痛いほどの切なる想いが隠されている。その想いを知った時、私は涙を流さずにはいられなかった。評価は五段階であるが、「10」を付けても足りないほどの名作である。
アニメタル・レディー・マラソンII/ANIMETAL LADY MARATHON II
やってしまった!!遂にここまで切れてしまった。
アニメタルレディこと未唯さんのとんでもない万華鏡ヴォーカルが
聴ける傑作アルバムだ。今回はタイムボカンやジムボタン、ラセーヌの星
など正統派(?)ソングからジャングル黒べえ(これを選曲してる段階で激ヤバ!)フランダースの犬、なんと最後はアンパンマンまで飛び出す始末。
アニメソング・ピンクレディファンは恐らく違和感を憶えることだろう。
でも、これははっきりいってはまること間違い無し!
名盤ってこういうことなのね。
こいのうた
3ピースバンド、GO!GO!7188の3rdシングル。
ベタと言ってしまえばかなりベタベタな、ラブ・バラード。
しかし、ここまで忠実に片想いする女の子の気持ちを描いた詞に、
自分自身の姿とシンクロしない女子なんていないんじゃないだろうか。
それくらい、信憑性のあるラブ・バラード。
だからこそ、ファンからの人気も高いんじゃないかな。
この曲を聴いた瞬間・・・「なにコレ!」って感じでした。
“共感”ってこういうものか、みたいな。
ストレートに入ってくる歌詞と、真っ向勝負なロック・サウンド。
何度聴いても飽きがこなくて、惚れ惚れします。
ここまでベタでストレートに恋心を描いた曲ってGO!GO!7188の中ではあんまりないと思うから、
「この曲から好きになった」って人もいれば、「この曲だけは好き」って人も居るんじゃないかな?
とにかく永久に廃れないラブ・バラードです。
カップリングも合わせて名盤。
『西部』では、GO!GO!7188らしい“弱い自分と強い自分との葛藤”の世界が描かれていて、すごく大好きな一曲。
GO!GO!7188の曲って、サウンドはとにかくロックだし、めちゃめちゃ勢いがあるんだけど、実際蓋を開けたらかなりヘヴィーで繊細な感情で溢れかえってたりするんだよね。
GO!GO!7188の楽曲は、そういうところがすごく好きだな。
で、とにかくこのシングルで貴重なのは『ひょっこりひょうたん島』のカヴァー。
こいつが死ぬほどかっこいい!
GO!GO!7188はカヴァーアルバムなんかも出してるけど、
そこに収録されてるどの曲も、この3rdシングルに収録されてる『ひょっこりひょうたん島』には敵わないです。
ムサシ特別版 [DVD]
白石加代子と沢庵役の方の演技が光ってました。長年経験を積んで、技術を磨いていると、どんな場面でも、いつ何時でも、これだけの演技ができるのかと衝撃を受けました。年輩の方は、宝ですね。改めて、年輩は敬うべき者だと思いました。宮本武蔵と言えば、佐々木小次郎とのライバル視が見所ですが、剣を取るのはいかなる理由からか?武蔵は、人格の向上。小次郎は、出世の為。と答えてました。この相反する2人の性格が、剣の道で、2人をライバルにさせたのでしょう。決着の為に、2200日の月日を重ねて、心技体を磨いた2人が、最後に選択した道は何か?その理由とは?そこにこの作品のおもしろさがあると思います。
死なない事の大切さを、教えて頂いた作品でした。
父と暮せば (新潮文庫)
自らも「心の被爆者」でありたいと語る井上ひさしが、広島の原爆を主題に据えた異色の喜劇。舞台は1948年の広島、登場人物は図書館員の美津江と、その美津江の恋を応援するために現れた父の亡霊。その父は1945年8月6日、美津江の目の前で原爆によって死んだ。父を、親友を原爆で一度に失った美津江は「自分だけが幸せになるのは申し訳ない」と言って恋心を否定し続けるが、父の霊に励まされて次第に考えを改めていく。
登場人物の台詞には、実際に原爆を体験した人々の手記から採ったものが数多く含まれている。それらは著者が適材適所に配置することでより輝きを増し、読む人の心に自然に浸透しながらも強烈な印象を与える。これほどまでに重たい主題をあまり抵抗なく読めるようにしたのも、常にこの問題に真摯であり続ける井上ひさしだからこそできることなのだろう。この問題を禁忌視しようとする現代において「伝えていくことの大切さ」を実感させられる、戦争作品の金字塔である。