フランク&マニャール:ヴァイオリン・ソナタ集
フランクのほうは、ピリスとのものよりコラールとのこちらの旧盤のほうが断然好きです。デュメイのヴァイオリンの擦れたような裏声のような弾き方や弦が切れるのではないかと思うようなアタックなど表現の幅が極めて広く、一般的なヴァイオリン演奏の枠を超えているような凄みを感じます。ピリスとの新盤では、この辺が大人し目になっているように思われます。コラールのピアノもデュメイに呼応するように迫力があり、デュメイの個性が一層弾きだされているように思われます。カップリングが知名度の低い作曲家ですがアルベリク・マニャールのソナタもであること重要で、大変スケールが大きく聴きものですし、他であまり聴けないため大変貴重な録音となっています。アルベリク・マニャールはフランク、ダンディの流れを汲む後期ロマン派の作風を持つ作曲家です。彼は第一次大戦で疎開せず自宅を守るために残ったのですが、ドイツ兵が侵入し、抵抗空しくマニャール邸は火を放たれ、焼死した悲運の作曲家です。