☆ヤクザ映画は、「任侠系」、「実録系」、そして、Vシネマに代表される「エンタメ系」の3つに分類することができる。
任侠映画の始まりは1963年に公開された『人生劇場 飛車角』である。
当時、時代劇と任侠映画の違いは、「ちょんまげを切っただけ」だった。つまり、任侠映画はそれまでの勧善懲悪の物語で、東映時代劇の人気に陰りが見え始めた昭和30年後半に発言された新ジャンルだったからだ。
勝新太郎主演の『悪名』シリーズ(61〜74年製作)、高倉健サン主演の『日本侠客伝』シリーズ(64〜71年)、『昭和残侠伝』シリーズ（65〜7２年製作）などが作られた。

中でも、大ヒットしたのが本作『網走番外地』シリーズだった。昭和４０年代における安保反対の学生運動の盛り上がりと軋を一にしており、運動の衰退に合わせるように、任侠映画の人気は落ちていったが…。

『網走番外地』こそ任侠映画の金字塔で、『新網走番外地』シリーズと合計1８作品が作られた。

シリーズ一作目は、スタンリー・クレイマー監督の『手錠のままの脱獄』（1958年、アメリカ）にヒントを得て製作されたとも言われている。

幼かった妹と不幸な再婚をした母親を守るため、ヤクザ稼業に身を落とした橘真一（高倉健）は、渡世の義理で人を殺め３年の刑期を網走刑務所で送ることになる。

そこで待ち受けていたのは刑務所の影の番人である鬼寅の義兄弟を名乗る依田（安部徹）や、新入りの権田（南原宏治）と衝突する日々だった。

彼らとの小競り合いから、橘は雑居房と懲罰房を行き来していたが、保護司の妻木（丹波哲郎）だけは橘に目をかけ、保釈放の手続きの約束をしていた。

しかし、釈放まで半年に追ったある日、依田が護送トラックから脱走を図り、手錠で繋がれた権田と橘もそれに巻き込まれてしまう。

妻木に追われる身となった２人は、大雪原でトロッコチェイスを繰り広げた挙げ句、汽車で手錠の切断しようとする…。

高倉健サンの歌うテーマ曲も作品の情感を盛り上げている★。

やっぱりテイチク盤が素朴な味で素晴らしい……。キング盤は伴奏が派手で、健さんの歌唱もちょっと気張りすぎ。このテイチク盤こそがオリジナル「網走番外地」。惜しむらくはカラオケを付けて欲しかった……。でも２種のジャケットが泣かせます。特にタバコを咥えているモノトーン写真は正真正銘のオリジナルジャケット。発売時に入手したものを、今は何処ぞに紛れて手元にない。懐かしくて涙が滲みます。

『映画会社様へ』
リリース紹介ではスペック：1080p Hi-Def（所謂２Ｋ）とのこと、
また、映像パッケージメディア界は４Ｋに移行が始まったばかりですが
初のBOX化この機会に、初めからオリジナルネガ使用の４Ｋ解像度でソフト化を
強く望みます。

この網走番外地シリーズはVHS等のテープメディア時代から、他の作品とは違い
高画質化や低価格化などによる、改定発売はあまり行われない作品でした。
VHSソフトの時代１巻13,000円ほどしたものを揃えたことを思い出します。
その様に一つの規格番号での寿命が長い作品なので、このボックスが一旦出た後
当面４Ｋ化は行われないことが、容易に予想されます。

折角の初ボックスであり、これで完結させたい思いのユーザーも多いと思います。
安易に買い替えせず完全保存版として永く楽しめるよう、
追悼を切っ掛けとしてのBOXであれば、発売日を延長してでも、
かつての北海道を、今は亡き大原麗子、そして健さんの世界をより生々しい4Kで
感動できるよう「一作品」としてのＢＯＸを作り上げて頂きたい。
発売をファンとして愉しみにしています。

健さんのキャラは、いつも通りですが、今回は復讐譚ではないので切ったの張ったのはありません。
どちらかというと病気の母親の為に更生したいというのが前提になるので、おとなしめではありますが、南原宏治の脱獄に巻き込まれてのトロッコでのチェイスシーンがクライマックス。
任侠ものを期待してるとちょっと肩透かしかも知れませんが、男同士の情を期待してるのであれば、いくつもぐっと来るシーンはあります。
というか、出てる役者は、みんな期待通りに活躍してくれるのでそれだけで結構満足ですね。
房の中でのパワーバランスを巡るやりとりは、安部徹と南原宏治のいやな奴ぶりを堪能したい。
アラカンは最後に良いところを持っていきますし、健さんと心を通わせます。
田中邦衛も例によって笑わせてくれる。
健さん自体そんなに演技がうまいとは思いませんし、今回は男の色気をみせるようなシーンはあまりありませんが、保護司丹波哲郎とお互いの事情を含んだやりとりはけっこう泣けると思う。

「レンタルＤＶＤで済ませばもっと安いよ？」　と嫁さんに愚痴られつつも
これらの貴重な作品群は手元に置いておきたい。
本当に嬉しい企画です。ありがとうございます。