若い人 (新潮文庫)
石坂洋次郎の小説といえば最も有名なのは映画や主題歌がヒットした「青い山脈」であろう。しかし「青い山脈」は戦後民主主義という背景なくしては決して成り立たないと思う。
それに対して、この「若い人」は戦前に書かれた小説ではあるが、学園を舞台にした恋愛小説の古典として多くの小説や映画などに影響を与え、江波恵子という魅力的な女性を作り出した。「若い人」こそ石坂洋次郎の代表作といっても差し支えないだろう。
ある北国のミッション系女学校を舞台に新任教師である間崎と知的な女性教師橋本先生、感情的で破滅型の女学生江波との間の三角関係を描いた小説である。この3人がお互いに影響しあいながら、それぞれの魅力と欠点が明らかになっていく過程が素晴らしい。
なお、終わり近くの描写に検閲の'''厳しかった時代の跡が見られる。
それに対して、この「若い人」は戦前に書かれた小説ではあるが、学園を舞台にした恋愛小説の古典として多くの小説や映画などに影響を与え、江波恵子という魅力的な女性を作り出した。「若い人」こそ石坂洋次郎の代表作といっても差し支えないだろう。
ある北国のミッション系女学校を舞台に新任教師である間崎と知的な女性教師橋本先生、感情的で破滅型の女学生江波との間の三角関係を描いた小説である。この3人がお互いに影響しあいながら、それぞれの魅力と欠点が明らかになっていく過程が素晴らしい。
なお、終わり近くの描写に検閲の'''厳しかった時代の跡が見られる。
陽のあたる坂道 [DVD]
私のかすかな記憶にうちのお手伝いのキミちゃんと週末に行った映画館での裕次郎がある。
それまでキミちゃんのお気に入りは東映の時代劇の中村錦乃助で
森の石松だったり若衆だったりさすらいの剣士だったりして週末のスクリーンで輝いていた。
キミちゃんがある日私をいつもと違う映画館に連れて行ってくれた。
始めてみた現代劇で若くてキラキラしてイタズラっぽい笑い顔の青年に館内から凄まじい嬌声が飛び交っていた。
何か見てはいけないものを見たような後ろめたさは東映時代劇にはないクールな都会青年は
大人の言うところの不良だと感じたからなのだろう。
今思うと裕次郎の絶頂期の映画はキミちゃんとほとんど見ているかも知れない。
キミちゃんも雇い主である我が親から裕次郎を禁止され、口止めの板チョコ(キミちゃんには痛い出費だったと思う)とともに
私と安全な東映映画に行く振りをして日活を見に行くほど大ファンだったんだろうと思う。
ゆったりとした映画の中の時の流れ、丁寧な言葉遣い、懐かしい住宅街の景色、踏み荒らす人も少ない雪山の白、シェパード・・・
総てが懐かしい子供時代に浸れる私のタイムマシンがこの映画である。
「錦之助見たって言わなきゃ駄目だよ」
チョコレートとともに繰り返される毎回のキミちゃんの台詞も甦ってくる・・・・
それまでキミちゃんのお気に入りは東映の時代劇の中村錦乃助で
森の石松だったり若衆だったりさすらいの剣士だったりして週末のスクリーンで輝いていた。
キミちゃんがある日私をいつもと違う映画館に連れて行ってくれた。
始めてみた現代劇で若くてキラキラしてイタズラっぽい笑い顔の青年に館内から凄まじい嬌声が飛び交っていた。
何か見てはいけないものを見たような後ろめたさは東映時代劇にはないクールな都会青年は
大人の言うところの不良だと感じたからなのだろう。
今思うと裕次郎の絶頂期の映画はキミちゃんとほとんど見ているかも知れない。
キミちゃんも雇い主である我が親から裕次郎を禁止され、口止めの板チョコ(キミちゃんには痛い出費だったと思う)とともに
私と安全な東映映画に行く振りをして日活を見に行くほど大ファンだったんだろうと思う。
ゆったりとした映画の中の時の流れ、丁寧な言葉遣い、懐かしい住宅街の景色、踏み荒らす人も少ない雪山の白、シェパード・・・
総てが懐かしい子供時代に浸れる私のタイムマシンがこの映画である。
「錦之助見たって言わなきゃ駄目だよ」
チョコレートとともに繰り返される毎回のキミちゃんの台詞も甦ってくる・・・・
青い山脈 前・後篇 [DVD]
何度も映画化された石坂洋次郎原作の「青い山脈」だが、リアルタイムで観ていない私も、戦後まもなく制作されたこの「青い山脈」がベストだ。この種の映画では珍しくキネマ旬報のベスト10の2位。名匠・今井正監督の作品は戦後民主義の申し子のような映画だ。話としてはたわいないものだ。しかし、映画全体に「希望」という空気が溢れている。眩しいような原節子の美しさ、池部良の六助も爽やかで。素直な気持ちで楽しめる。こんな時代もあったのかと時の移り変わりを感じるが、なんど観ても清々しい気持ちになれる。懐古的な価値ではなく、日本映画腐朽の名作と言ってよい。それにしても、もう少し安くならないものか。