日本の名詩を読みかえす
石垣りんも、山村暮鳥も、丸山薫もこの本で知った。こんなに、詩の世界が楽しいとは今まで知らなかった。北原白秋や、三好達治など、有名どころも網羅してあり、また各詩人から2、3の代表作をピックアップした後の編者の適切な解説が素晴らしい。詩も、たまには読んでみたいけれど、何から入れば分からない時、この本を手に取れば間違いないと思う。これと、ねじめ正一氏の「言葉の力を贈りたい」を読めば、詩の魔力の虜になることうけあい!
赤色エレジー [DVD]
懐かしの名作劇画の映像化。冒頭、壮年の男性(原作の漫画家であり本作の監督でもある林静一さんらしき姿かたちの人物)が、かつての4畳半を訪れ過去を振り返るというシークエンスから物語は始まる。しかし、林さんご自身は原作を描いていた当時には同棲経験がなかったそうで、また、主人公のように東北が故郷でもないとのこと。林さんも職業アニメーターであったことから、『赤色エレジー』があたかも私劇画であるかのように「誤解」(もっとも林さん自身それを楽しまれているように見えるけれど)されることも多いようだが、この物語は案外クールな視点から描かれているように思う。物語を断ち切るかのような、ラストシーンでの「幸子」の所作―全編新作の絵そして色彩―が本当にすばらしい。
連句アニメーション 冬の日 [DVD]
日本に限らず世界の様々なアニメーション作家達の個性のぶつかり合い
です。僕は松尾芭蕉の「冬の日」という俳句集を知りませんでしたが、
様々なアニメーション作家の競演ということでこのDVDを買いました。それだけで十分価値のあるアニメーションが見られました。
アニメーションに興味のある人達、勉強しようと思っている人達は
絶対に見たほうが良いと思います。ただ僕のような普段俳句になじみのない若者には句の内容まで理解するのはなかなか難しいと思います。
赤色エレジー (小学館文庫)
あがた森魚の名作のモチーフとなった作品。
まず断っておくのは、漫画にテンポのよさを求めている人にはこの作品は合わないだろう。どのくらいそうであるかという、つげ義春よりもずっとずっとテンポはないというレベルだ。それでいて、味がある。これは音楽で言うとポストロックのような作品だ。貧乏で同棲している恋人2人の空気感だけが、ここにはある。その空気感だけを読者は感じ、そこにある人の儚さと美しさを見るのである。