観用少女【完全版】 明珠 (コミック愛蔵版)
「掘り出し物でございますよ お客様」――帯より
まさに掘り出し物です。新作を待ちつづけた身には未収録作品でも嬉しいものです。
どちらかというと漫画本というよりハードカバー小説のようなつくりで、出荷時点でビニールの全面シュリンクがかかっているようです。
収録作品は発表順(ゆえにコミック版の読者には多少違和感があるかもしれません)で、
食卓のミルク/スノウホワイト/空中庭園/宝石姫/天使の役作り/桃源郷/サークル/
蜜月/空をとぶ夢/嵐/流砂/"プレゼント"/珊瑚/オーロラ姫/ユメデアウマナザシ
となっています。
コミック版での未収録作品は、終盤の二つ「オーロラ姫」と「ユメデアウマナザシ」ですね。
まだ未収録作品があるみたい。
観用少女 1 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)
観用少女(プランツ・ドール)一巻。生きたお人形さんの短いお話の詰め合わせ。
何年も前に本屋で見かけて手に入れて以来、ずっと本棚に住まわせてます。
このお人形さん(プランツ)たちがもう愛らしいったら。ひらひらフリルのドレスに身を包み、ミルクと砂糖菓子と愛情で生きている少女人形たち。
彼女たちのお話には(そして彼女たち自身にも)愛らしい子猫並みの可愛らしさの奥に、一欠片の甘い毒が潜んでいます。
眠るように、安らかに死なせてくれる甘い毒。そうして死んでも構わないと思わせる魅力が、彼女たちにはあふれています。
特にそれが顕著なのが「歌う人形」オランピア。彼女が歌うために口を開けば(歌うのは一回きりですが)、毒の結晶がきらきらと零れ落ちていきそうな位。
ここまで毒に言及しといてなんですが、一番好きなのは殆ど毒のない話。「スノウホワイト」の二編は、楽しく切なく美しく、とびきりの良いお話です。
絵もとても綺麗です。少女っぽい絵柄に耐性のある人なら、絵を楽しむだけでも買う価値はあるのでは。
追記(?):レビュー後しばらくして、あんまり読みすぎて文庫版一巻が破損。外出先で暇つぶしに真似っこで絵を描いたりするので、文庫版の方が良かったのですが、諸事情により完全版一巻を購入。
絵が大きいので描きやすい! ですが、紙質はあんまり良くないです(←文庫版と比べて)カラーページもないし、一長一短といったところです。
大きめの絵を楽しみたいなら完全版を、紙質をとるなら文庫版を選んだほうが良さそうです。
愛蔵版は手が出ないので、何とも言えませんが…。
たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)
自分の死は確定、自分の遺体が回収されれば被害が拡大する可能性が高い、
となればコーティーの選択は、宇宙飛行士として当然である。
宇宙に出た時点でコーティーはその覚悟をしていたはずなのだ。
だからナイーブな読者諸君よ、なにも泣く事はない。
二つめの「グッドナイト・スイートハーツ」は最後どうなったのかよくわからなかった。
最後に収められた「衝突」がかなりいいので3点。
あ、あとカヴァーがやっと買えるデザインになった点も評価します。以前のは少女マンガ臭くて手が出なかった。