蝶の舌 (BOOK PLUS)
表題作「蝶の舌」は映像を言葉にしたような、土や緑の匂いを感じさせる作品。まだ政治や社会と対峙していない幼い少年が、初めて大人としての痛みを感じた瞬間を表したような短編でした。
派閥や迫害、そして戦争など現代では他人事のような感のある日本ではわかり辛い部分もありますが、子供の目から見た情景はストレートに響きます。
読み手に委ねられているのか、主人公の「僕」があえて物事に解釈をつけずにいるので、その時間を共有しているような感じが気に入りました。
蝶の舌 [DVD]
何てことないシーンの連続なのに、ずぅっと惹きつけられつづける――
そんな力をもった画と音、独特なリズムの編集
とくに画について言うなら、とくに影・闇・黒だなぁ…
スペイン映画の十八番、やっぱりスゴイ
ケルトの末裔が棲むガリシア地方の1936年…
それだけでも、異国情緒を存分にかきたて、文字どおり夢見心地にさせてくれる☆
そして…あのED! この時空が置かれた歴史が顕わになる…
心に突き刺さるに決まってますよね
名作感ただよう名作♪
【覚書】
・ 本作は、宗教と深く結びついた「メロドラマ」っていう括りができる!貴重!
蝶の舌【字幕版】 [VHS]
本作はスペイン映画です。『バニラ・スカイ』のオリジナル版『オープン・ユア・アイズ』の監督で、『アザ-ズ』でも世界的に知られるようになったアメナバールが、音楽を担当しています。彼はもともと映画音楽家としてキャリアをスタートさせているんですね。
舞台は、戦時下のスペインです。学校に通い始めた少年が、老教師との心の交流を深め、人間的に成長していく過程が描かれています。
ハリウッド映画を観慣れている人には、淡白に感じられると思います。映画の中にちりばめられた細かなエピソードが、大袈裟に説明されることなく、淡々と展開していきます。共和派と保守派の対立が物語の大きな背景になっていますが、説明はほとんどなく、理解に苦しむ部分もあると思います。
しかし、そこがこの映画の美徳なのでしょう。過度な演出、説明のための直接的で情感のないセリフなど、最近の映画に飽き飽きしている方々には、本作はお勧めです。淡白なのに、主題はしっかりと伝わってきます。大袈裟ではないラストシーン。しかし、何か心に残るものがありました。
映像で伝えることができるという映画の利点。近年の映画はそれを忘れ、小説のようになってしまっているのかもしれません。役者の表情や、風景の微妙な変化、そんなところから、物語を肌で感じることが、映画の本質なのでしょう。
蝶の舌【日本語吹替版】 [VHS]
病弱であるため少し遅れて学校に行くことになった少年と心優しい先生との心温まる交流と戦争の暗い影を描いた作品。
子どもの頃、こういった先生に出会えた人はとっても幸せだと思います。こんな先生もいたなぁと昔をなつかしく思い出させる、お話です。
派手な演出や凝りに凝ったカメラワークなどがいっぱい使われている最近の映画にちょっとうんざりしている人にお勧めの映画です。
最初のほうのスペインの美しい映像で魅せる幸せな日々と、だんだん忍び寄ってくる戦争の影響の差があまりにも大きいので本当につらくなってきます。
ただの感動作品で終わらない、少し考えさせられる作品です。
蝶の舌 [DVD]
この映画を見て感じたこと・・・。
戦争は、人のしていることで一番酷いことで、
戦争中は、人間性の全てが否定されてしまう。
だから戦争を否定し、子供の純粋なやさしい心が育つような世界にすることが、
大人の一番の使命だと思いました。