太陽の子 (角川文庫)
戦争反対、と口にすることは簡単だ。
だが、安易に「戦争反対」という言葉に逃げてはいけない。
この本に出会ってそう思った。
戦争がどれだけ人々を不幸にするのか。
戦争がどれだけの人たちの運命を狂わせるのか。
戦争によって一番傷つくのはどんな人たちなのか。
私たちは、未来を担っていく世代として
そういった重く辛い過去をきちんと受け止める義務がある。
神戸に生まれながら、沖縄出身の人に囲まれ、愛されて育った
「てだのふあ(太陽の子)」ふうちゃん。
ふうちゃんは父親の心の病気や「沖縄出身」というだけで
辛い生活を余儀なくされて育ったキヨシ少年と出会ううちに
本当の沖縄の歴史と向き合い始める。
愛されてまっすぐ育ったふうちゃんは
辛い史実からも目をそらすことなく真剣に受け止める。
人々の心の傷は戦後も決して癒されることはない。
だが、そういった辛さ、悲しみを経験しているからこそ
人は暖かく優しくなれる。
悲しみ、憎しみは連鎖する。
しかし、愛情もめぐりめぐるのだ。
ふうちゃんが向き合った「沖縄」は
私たちも忘れてはいけない「沖縄」
私たちも見つめなければいけない「沖縄」だ。
そんな沖縄にこの本を通して巡り会えてよかったと
心から思う。
わたしの出会った子どもたち (角川文庫)
教師であった著者の独白モノです。子どもの感性がいかに素晴らしく、教師は何を教えられるのかについて思い巡らせ、沖縄放浪の体験を経て『やさしさ』とは何かを考え、児童文学に目覚めるまでを書いております。
まずはわが子と向き合うことが大事だと思いました。
兎の眼 (角川文庫)
十数年前から、何度読んだかわかりません。
何度読んでも泣いてしまいます。
灰谷作品を読むと、悲しい場面やとても感動する場面でなくても、
なぜか涙が出てきます。
教育問題、などだけではなく、人間の基本的な部分を
たくさん刺激される作品です。
読むたび思わず自分自身たくさんの反省をします。
一度は読まれることをお勧めします。
兎の眼 [DVD]
素晴らしい!!
タカをくくって見始めましたが、いやあ、
すっばらしい映画でした。
関西の貧困都市部へ赴任した壇ふみさん
演じる先生と、小学校の生徒たちの
涙ぐましい触れ合いと格闘・・・・。
新克利さん演じる教師ともども、
これこそ教育者の鑑だ!
と言いたくなる奮闘の模様を、
ある時はシリアスに、ある時はメルヘンタッチで描いた、
「キューポラのある街」以上の快作です。
こうゆうことこそ、「人間関係」だ、と感じさせられました。
ドラマも映画もこれ、といって残っていない
壇ふみさんの若き日の凛々しさ観られるだけでも
価値あり、です。
僕の中では「典子は今」に並ぶシリアスメルヘンの
傑作ですねえ。
あ〜これダウンタウンの松本人志さんにみせたい。
号泣するやろなあ、自分たちの子供の頃思い出して。
ヒューマンな感動とはこういうもののことを
言うのです!!
太陽の子 [DVD]
灰谷健次郎の同名の小説が映画化されたもの。
小説にはなかった、お父さんの過去などが描かれている。
お父さんが沖縄戦でどのようなことがおこったのか、などが見えてきて
ラストなぜああなったのか、がわかりやすくなっている。
穿った見方をしてしまうと、ふうちゃんのせいでラストああなってしまったかのようにも見えてしまうのが残念。
ふうちゃん、キヨシ、ろくさんなど映画初出演の役者さんたちを使い
リアリティが出ている。
ところどころ出てくる沖縄民謡。意味がかいてあってわかりやすい。
本だけではわからなかった雰囲気が素敵な演出。
ラスト、天皇誕生日の皇居の様子がテレビで映し出されているのは
よけいな意味をもたせてしまうので蛇足かと。
全体的に、沖縄・昭和の美しさとその悲しさの対比が素晴らしく
いい涙が流せた作品でした。