親愛なる者へ
野沢尚さんのファンでした。
「親愛なる者へ」は柳葉敏郎、浅野裕子さん主演のドラマでしたが、
これはそのシナリオとなっています。
中には凪子、望の写真なども入っていますので
当時このドラマを見ていた方はとても懐かしく感じられるのでは
ないでしょうか?
「夫婦の恋愛とは?」また「夫婦に恋愛は必要なのか?」
をテーマにした作品。
野沢さんはこのような夫婦をテーマにした作品をいくつか
残されましたが、自分はこの作品が一番好きでした。
ラストシーンは本当に素敵でした。
野沢さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
親愛なる者へ
やる気が欲しい人はこのCDを聴くといい。やる気が出てくるから。
ただし、追い立てられるような形で。
尻を叩かれないとやる気がでない人、にはこのCDはおすすめだ。
がんばらなきゃがんばらなきゃがんばらなきゃという心の中の声を
大きくするのにこのCDは向いているのだ。「座り込むにはまだ早い」と。
ただし、もう崖っぷちに追い詰められている人は聴いてはだめだ。
「死んでも春の服を着る」のは時には大事かもしれないが、本当に
死んでしまっては意味が無い。あなたがするべきことは仕事を休むこと、
転職を検討すること、その他もろもろ。このCDの恐ろしいところは
そんな人間すら死に物狂いで頑張らせてしまうことにある。いくら
素晴らしい音楽であっても、聴くべき時をえらびたい。
親愛なる者へ(紙ジャケット仕様)
本作は初期中島みゆきの最高傑作と私は思う。詞、歌とバック・バンドまたはストリングスの結合が完璧。捨て曲なしの極めつけの名盤で、どれもLP時代から耳になじんだ曲ばかり。東京で単身生活を送っていた者には胸に迫る詞や励まされる詞が聴きやすいフォーク/フォーク・ロックのサウンドで歌われ、LPを擦り切れるほど聴いた、感謝しきれない思い出の作品。今聴き直しても古さは微塵もない。曲順にコメントします。
1 彼女ならではの詩、歌を演歌っぽくドラマチックに盛り上げる。
2 アコギの(弾き語り?)フォーク調で始まり、後半バック・バンドの音とストリングスがかぶさる。詞に出てくるアローン・アゲインが時代を感じさせる。
3と4 この2曲はメドレー。本作前半のハイライト。ストリングスやバンジョーも交えたスケールの大きい展開が素晴らしい。
5 しんみりしたアコギの(弾き語り?)のフォーク調で始まり、後半オーケストラとバック・バンドの音がかぶさって盛り上がる。
6 目をさませ、つけあがるな、という詞が、日本的フォーク・ロックで歌われ、聞き辛さはない。
7 「あなた」に懇願するフォーク。ストリングスが絶妙にからまる。
8 一転して明るいリズミカルな曲
9 この初期中島みゆきを代表する超名曲は説明不要でしょう。映像が鮮明に浮かぶ詞。とてつもなく奥深い音。彼女でなければ作れない音世界が最高です。
10 ポップな曲で、途中からのテンポが上がる展開とバック・コーラスが素晴らしい。本作を締めくくるのにふさわしい佳曲。
後のライヴ盤「歌暦」で、上記6と9が選ばれたことが、本作は快心の出来であったことを物語っているでしょう。
親愛なる者へ
目をさませ 早く 甘い夢から
うまい話には 裏がある
目をさませ 早く 甘い夢から
溺れているのはおまえだけ (片想)
目を覚ませ、もっと現実を見ろ、大人になれとのたまう現実主義者は嫌いだが、
この頃の中島みゆきの歌には、自分を批評する言葉があふれている。
笑っているけど みんな本当に幸せで
笑いながら 町の中あるいてゆくんだろうかね (タクシードライバー)
十四や十五の 娘でもあるまいに
繰り返す嘘が なぜみぬけないの (信じ難いもの)
人形みたいでもいいよな 笑える奴はいいよな
みんないいことしてやがんのにな いいことしてやがんのにな (狼になりたい)
自信のないものは自分も他人も批評することはできない。ことばに自分が負けてしまうから。
1980年の谷川俊太郎との対談で彼女はこんなことを語っている。
中島: ・・・・たとえば、誰かがうんとあたしのことを思ってくれるとするでしょう。
でも、どんなに思ってくれたとしても、それ以上にあたしを思う人が必ずいるわけ。
それはあたし自身なの。あたしがあたしを一番好きなの。
(中略)
谷川: ・・・・そんなに自分が好きなの?
中島: 好きよ。すごく好き。
谷川: 自分の嫌なところなんか、ないの?
中島: いっぱいあるけど、全部ひっくるめてすごく好き。
中途半端に好きなら自分に酔うこともできるだろうが、自分を好きすぎるみゆきは、自分に挑んでしまうのだ。
ふられ歌を泣きながら歌っているように聞こえるときでも、彼女は歌う自分に酔っていない。たぶんそれははずかしいのだろう。
街のなかから、ラジオから、テレビから、流れてくるいまの若い人たちの歌は聞いていてはずかしい。
夢をすてるなだの、自分にあまえるなだの、大声でわめいて、迷える子羊ちゃんたちは感動して泣いたりしている。
ぼくは、こんなふうにささやきたくなるのだ。
あなたたち、もっと自分を鍛えないと、うまい詐欺師にいっぺんにだまされますよ。
めをさませ。