羊たちの沈黙 [Blu-ray]
内容的には文句なしの傑作。冒頭のクラリスがFBIの訓練のため走る場面からぐいぐい引き込まれるし、その走る躍動感が映画全体のトーンを決定づけている。レクター博士が脱出した牢に施した彼の特異な美意識を窺わせる痕跡、そして野に放たれたレクター博士が次のターゲットに向かって人ごみの中を遠ざかってゆくラストは無気味なことこの上ない。クラリスの犯人探しの本筋の方もサスペンスフル。何より、本作はクラリスとレクター博士の奇妙な交流というか、丁々発止の神経戦がじっくり描かれている。
ただ、BDで画質は向上していると思うが、91年作品の古さを若干感じる。現状では最良の画質かもしれないが、リマスターされたより鮮明な画質をBDには求めたい。それと特典映像が無いのに等しい。
25周年記念まで、本作のベストのBDは待たないといけなのかな?
レッド・ドラゴン [DVD]
レッド・ドラゴン良かったですよ。レクター博士をもう我々は何度も見ている訳で、名作の誉れ高い、「羊たちの沈黙」はやはり初出のインパクトが強烈すぎます。でも本作の物語の展開。プロファイリングの手順などは見ているこちらも納得の出来だと思うのですが、どうでしょう。エドワード・ノートンもいい味出していると思いましたし、まさに適役です。
レクター博士のキャラが確立しすぎているので、各個人の思いいれ度によって感想がかなり左右されてしまいます。でも個人的には「かなり」楽しめました。
ハンニバル・ライジング 完全版 プレミアム・エディション [DVD]
過去のレクター・シリーズはすべて観てましたが、本作は評価が微妙だったり、若手俳優によるレクターの演技に期待が薄かったので、いままで観てませんでした。しかし観て驚きました、面白いじゃないか!と。始まって早々、美しさと緊張感が張り詰めた映像に目を奪われました。本作が過去のシリーズと大きく違うところは、舞台が現代から1950年代になったところ。レクターの若い頃を描いているので当たり前ですが。なので、映像の雰囲気が今までと違います。冒頭のハンニバルの家族と幼い妹が殺されるシーンはとても切なく、以後のハンニバルには感情移入してしまいました。今回のハンニバルの犯行は妹を奪った男達への復讐なので、殺害シーンは不謹慎ながらもスカッとしてしまいました(ゆえに、肉屋の殺害シーンは余計だったかも)。ハンニバルの存在に気付いた敵側も反撃を試みる展開も面白かったです。若いながらも医学知識を持った天才的な頭脳と、相手の行動の先を読むハンニバルの犯行には、のちの中年・初老のレクターの面影が見えました。ギャスパー・ウリエルは経験が少ない若手俳優さんながらも見事にハンニバルを演じきったと思います(ホプキンスとはまるで顔が違いますが・・・)。最後に明かされる真実はショッキングでした。あの一言でハンニバルは真のモンスターになったと思います。私はそんなに気になりませんでしたが、日本人のお怒りをかった間違った日本の要素はいらなかったかも。日本版は剣道や鎧のシーンなどはカットしてもよかったかもね。
ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫)
第一次ポエニ戦役(紀元前264年から前241年)とその後の前219年までについて書かれている。ローマとカルタゴの争いである。
海上ではとてもカルタゴにかなわないと考えたローマは、「カラス」という新兵器を船上に設置した。「カラス」とは一種の桟橋で、敵船に接近するや、帆柱から解かれた「カラス」が敵船の甲板に落下して突き刺さり、これを通ってローマ兵が敵船になだれこむものである。
カルタゴ政府は捕虜になっていた前執政官のレグルスを講和の使節とした。その際カルタゴはシチリアの全面放棄を講和の条件としたが、レグルスは講和を結ばないように説得したという。その後カルタゴに戻ったレグルスは、丸い籠の中に押し込められ、それを象たちがフットボールをするやり方で殺された。
「共和制ローマでは、軍の総司令官でもある執政官に対し、いったん任務を与えて送り出した後は、元老院でさえ何一つ指令を与えないし、作戦上の口出しもしないのが決まりだった」という。
「ローマ人の面白いところは、何でも自分たちでやろうとしなかったところであり、どの分野でも自分たちがナンバー・ワンでなければならないとは考えないところであった。」
ドラキュラ [DVD]
石岡瑛子氏がアカデミー賞衣装デザイン賞に輝いているので、女性だったらその辺も見所。ゴシック風の数々の衣装の素晴らしさが楽しめる。
ゲイリー・オールドマンのドラキュラは、悲劇的で時代を超えて愛を求めてさまよう男。その悲しみが良く出ている。また、ウィノナ・ライダーも、もっとも美しかった頃でもある。
M・ベルッチが他のドラキュラの花嫁たちと、吸血鬼となってキアヌ・リーブスを怪しく襲うシーンも見逃せない。今よりも、ほっそりとしたボディーでさらに美しい。
他にもA・ホプキンスなど名優も、ヴァン・ヘルシンク役で出演し、豪華な顔ぶれ。
怖い映画というよりも、ゴシック風の美術や衣装に彩られた、ドラキュラの哀しい愛のストーリー。