脱原発
ふつうの本屋の店頭では見かけませんが、原発問題については核心的な内容をもった本だと思いました。著者の河合氏は、浜岡をはじめ、原発廃止の急先鋒に立つ、東電からは一番恐れられている辣腕弁護士です。政官財がガッチリと結びついた原発システムに対して、ドンキホーテのように反対運動を立ち上げた勇気には恐れ入るばかりです。こういう気骨のあるサムライがいる日本は、まだ捨てたものではないですね。
著者の父上が電源開発にかかわり、東電の勝俣会長とは東大卓球部で先輩後輩としてずっとお付き合いがある仲だったとかいうエピソードも面白い。知力・政治力のある人は密接につながっているんだ。しかし、そういう知者賢人たちがいくら動いても、原発推進で固められた強固な組織は簡単に変えられないという、近代的システムの怖さを痛感します。
子孫にツケを回さず、現代の豊かな文明を継続させるためには、エネルギー政策をどうすれば良いのか、これが読者の私たちに投げかけられた大きな宿題だと思いました。
硬直化しきった政治の世界は、もしかするとこの文明史的変化に対応できないのかも。今までの政・財・官体制を冷温停止状態にして、新たな国家的システムを構築しなければいけない段階に来ているのかも知れません。
巨乳をビジネスにした男 [DVD]
製作記者会見のときから見たいリストに加えていた作品。元イエローキャブ社長で現サンズ社長の野田義治の半生を遠藤憲一が演じます。記者会見では遠藤憲一が野田義治に似てるだとか共演者が言ってましたが、そんなことはどうでも良く遠藤憲一の本作での存在は極めて大きく起用は大成功だったのではないでしょうか。やはり抜群の知名度を誇るグラビアアイドルが出演しているのが見もの。故・堀江しのぶ役には、セリフがヘロヘロの小阪由佳というのが正直ガッカリだった。同じくヘロヘロ声の浜田翔子もバストが小さいのになぜ主役なんだ?の声も多く聞かれたが、実際に見ると幸が薄い少女が売れっ子になるという設定ではなかなかハマり役だった。鷲巣あやのは、「転生」ではまだ頼りない演技しか出来ていなかったのに本作では常にミュージシャンにこだわりを持つアイドルとしての役割をしっかりこなしていて見ていて安心できる。イメージビデオは全作見ている福永ちなも演技を見る機会はなかったので、上を目指すバラエティータレントとしての演技は貴重だった。セピア調でボヤけた映像も良かったし、全体的に深く考えずに楽しみ見れた。しかし野田義治と村西とおるとの間にこんな親交があったとは意外。
カラオケ [DVD]
大手リサイクルショップのジャンクコーナーで、105円で購入。
理由は、自分、宇崎竜童ファンなので、彼の出演作を観ておきたいというだけ。
内容には全く期待していなかった。
ところが、これがバカにしたもんじゃなく、結構面白かった。
他の方が書いている通り、脇役陣が達者で(特に重要な役を演じている高田純次。最後までおふざけ一切なし)、押尾もなかなかいい味を出している。
カラオケを発明しながら特許を取らなかったので、世界的なヒット商品になっても、その後ロイヤリティーは一円も入ってこなかったという井上大佑さんのドキュメンタリーとしても、興味深く観ることができる。
途中、千昌夫が扮する歌手・千本木昌夫が、自分に勢いがあり絶好調だった頃を振り返り、大佑(押尾)に静かな口調で人生を諭す場面がある。
そのセリフ(下記)が今となっては実に深い。2005年の作品なのだが、脚本家は預言者か?
押尾、このシーンを自分でもう一度観て反省しろよ。
「あの頃は過剰なくらい自信に満ちていて、何をやっても成功すると信じ込んでいたね。でも、そんな時がさ、長く続くはずがないんだよ。あっけなく終わっちゃってさ。気がついてみたら、何もかもなくしていたよ。周りの人もみんな離れていってしまってね」
しかし、吉岡美穂はヘッタクソだなあ… この役にもう少し上手い人を使っていたら、もっと良くなったのに。
修羅の群れ [DVD]
東映の任侠路線をかざった大スターたちが集まった実録大作。高倉健・安藤昇・藤純子以外は全て出演しているといって過言なし。稲川組・稲川総裁の半生を緻密な取材を元に映画化。俊藤プロデューサーは第二段を作る予定でいたが、稲川総裁の許可が下りず実現しなかった。こんな映画はもう製作不可能。
鶴田も若山も山下監督、そして俊藤監督も鬼箱に入られた。
力道山の真実 (祥伝社文庫)
「日本最大の英雄」の裏の顔は嫉妬深い金の亡者だったと思うとショックを隠せない。世話になったスポンサーを平然と裏切ったり木村政彦の敵討ちに燃える大山倍達を丸め込んだりする汚さには絶句・・・そう思うとあの最後は大山のいう「天罰」がピッタリ。でも異常なまでの金銭欲は猪木がしっかり受け継いでるけど。