他人を見下す若者たち (講談社現代新書)
「仮想的有能感」という中心概念を用いて現代の若者を分析している点は他のレビュアーの方も書いていますね。
私が一読して感じたのは、こうした議論は小此木啓吾の『モラトリアム人間』やダン・カイリーの『ピーターパン・シンドローム』などの焼き直しではないかということです。既に数十年以上も前に、小此木は、「かつての若者の意識が<半人前意識>を持っていることが多かったのに、現代では<全能感>(言い換えれば、<何でもやればできそうだ>という感じ)を持つことが多い」と指摘していたと思います。著者の言う「仮想的有能感」とは、細かな点での違いはあるものの、小此木の言う「全能感」と似た意味ではないでしょうか。『モラトリアム人間』『ピーターパン・シンドローム』とぜひ読み比べて比べてみて下さい。
もっとも、現代では、そうした傾向に拍車がかかってきていることは皆が実感しているとは思います。
求む、有能でないひと
いわゆる“日本の特殊性”(文化などではなく)は、ただの奴隷根性なのではないか。実態は、無知で無責任な圧倒的奴隷大衆と、それを利用する支配者の国でしかないのかもしれない。近代主義や資本主義の矛盾は、それを目指した国にはどこにでも共通してあるものだが、要するに歯止めになるモラルや真の常識があるかどうかの違いで、現代の日本にはそれがないのか、あっても無視されている。改めて言うまでもないことだが、“モラル”とは、永久不変の“善悪への観念”のことであり、人間が人間らしく生きていくためには必要不可欠なものだと私は考える。一体現代の日本にそんなものは存在するのか、と考えさせられる一冊だった。日本を1歩離れて考えてみたい、という読者にお勧めする。
その男、有能につき。 (フラワーコミックス)
ももたまこ先生の二冊目、待ちに待った二冊目! どんなイケメンがいるのかとワクワクして読ませていただきました、内容は三回連載の読み切り、短編が二本、連載の番外編が一本入ってます! 特に連載の男子のクールさと優しさのギャップにドキドキしっぱなしの話で本当にキュンキュンします! 年下男子や幼なじみ、番外編がものっすごくヤバい格好良いです、ときめきが半端なかったので★5!
有能なメイドの愛し方 (ダリア文庫)
メイドシリーズ(一つ一つに今のところ繋がりはありません)第3弾!!ということで期待して読みました。いつもこの作者の作品は設定がはっちゃけ気味ですが、メイドシリーズはそれが顕著に感じられるような気がするなあ。
内容は相も変わらず甘々…。それがツボ!ハッピーエンド至上主義です。今回のお話にはメイド協会なるものが登場。この設定は次回も使われそうな雰囲気。スーパーメイドという、とにかく凄い…メイドが出てくる。資格とか家事とか語学とか、なんでもできて、ついでに依頼人好みの体に仕込む(笑)なんて仕事も請け負っているという。攻さんがそのスーパーメイドなわけだが、俺様なようでいて受には甘いという、個人的に大好物ネタでした♪
彼によってしつけられる受は例によってかわいくて元気いっぱい。
まあ、新鮮味にかけると思う方もいらっしゃるかもしれないけど、やっぱり安心して読めて幸せになれる素敵な作品だと思います。
クジラの彼
表題作「クジラの彼」をはじめ甘い、でもなんとなく切ない恋愛短編集。
「海の底」「空の中」に出てくる彼・彼女達の物語が読めるので2作品のファンの方にはお勧め。でも読んでない人でも自衛隊と恋愛十分を楽しめます。実際、私もこの作品を読んでから前作2作を読みました。
ハードな自衛隊からは想像しにくいですが、中にいるのは年頃の男女です。だから甘い恋愛もありなんでしょう。
「クジラの彼」では潜水艦員・冬原と普通のOL・聡子のお話。携帯もメールの繋がらないのは当たり前。寄港地や予定も国秘。陸で待つ聡子はなれない恋愛相手に気持ちが不安定。でも、自分の気持ちがぶれない冬原を結局信じます。待つ間の聡子の気持ちの揺れが遠距離恋愛経験者にはよくわかるのでは?
この冬原さんと「海の底」でコンビだった夏木さのお話は、夏木さんの不器用さと望ちゃんを思う優しさがいっぱいでした。
「空の中」の女性パイロット光稀さんの可愛らしさと強さは魅力的。でも、彼女を支える旦那さまの大きさは働く女性にはすごく魅力的でしたね。
強いんだけど可愛い自衛隊員のsweetな恋愛話を照れながら読んでください。