パーカーズ・ムード [DVD]
パーカーを愛する彼は,1969年にも日野皓正,渡辺文男ら日本人ミュージシャンとパーカーの曲でライブアルバム(SADAO WATANABE / DEDICATED TO CHARLIE PARKER)を出している他,パーカーを取り上げることが多い。
このアルバムは今から20年ほど前のライブで,当時若手のミュージシャンを起用してパーカーの曲を中心に全国ツアーを行ったときのものである。
彼は無名の若手を見つけ,育てることをとても大切にしているように思う。最近のライブでも10代のドラマーを起用してツアーを行っている。このときのバックをつとめた若手トリオ(当時10代後半から30代前半)の演奏は,テンポキープも含め少々荒削りな印象だが,とても息が合っていてエキサイティング。その演奏を高みから温かい目で見つめ,美しくスケールの大きな曲に仕立て上げていく芸術家ナベサダの演奏は白眉。楽しむことができるDVDである。
全編白黒なのと,同名のライブアルバム(CD)より曲が少ないのが残念。
新地橋 (講談社文庫)
笑次郎、お捨の”超いいヒト”風味がシリーズが進むごとに感じられなくなりました。
その分うそ臭さというか作り物めいた作為が無くなり
各話のエピソードも、背景を現代に置換えても読み応えがあるような真実味を帯びた心情小説となっているように思います。
度外れて面倒見の良い木戸番夫婦にすら解決の糸口すら見つからない問題を抱えた市井の人々を、ただ話を聞いて受け止めるだけ。
それなのに読後は少し悲しく暖かい気持ちになれるような気がします。
カム・トゥデイ
この年代で、どアップのジャケット!かっこいいです。貞夫さんは、奏でる音色、作曲全てにおいて、人間性の良さが滲み出ております。
アルバムの中に、貞夫さんのコメントが入っております。
冬の土の奥に
芽生えのときを待つ生命があるように、
悲しみや困難を乗り越えた先には希望があります。
「痛みの度合いは 喜びの深さを知るためにある」
これはチベットの格言ですが、
僕のそうした想いを、このアルバムに
感じてもらえればと願っています。
この貞夫さんの言葉に涙が出ました!
また、今回のアルバムは若いミュージシャンとコラボしておりますが、青年を大事にしているところ、
自分の栄光に溺れず、常に前進しているところも含め、ますます渡辺貞夫が光っております!
内容が悪いわけがなく、全曲渾身のプレイが聴けます。しびれました!
ポンキッキーズ・メロディ
ハッピーになりたいかい?
愛が足りない?
希望が足りないって感じている????
なら絶対に買うべし!
僕らにはなんでもできるよ
虚しかったこの世界が、また大好きになるよ。
きっと愛で満ちるよ。
さあ、jump jump, Dance Dance!
ジャズスタディ 渡辺貞夫
日本ジャズ史において特にプレイヤーにとって渡辺貞夫のバークリー帰り以前/以降ほど
大きな分岐点は無いだろう。帰国後の彼が、菊地雅章を初めとする当時の若手ジャズメン
にバークリー理論を伝授したテキストをまとめたのが本書である。この理論が突然もたら
された暁光に歓喜した当時の日本のジャズ界が紙面からありありと伝わって来る。
理論書としては、現在においては説明不足などと論評されたりしているが、この本で
インプロヴィゼイションを学ぶには確かにそうかも知れないが、ジャズ理論の基本と
バークリーの最大の売りとも言えるアレンジの基本を学ぶことは十分に出来る優れた
内容である。
ここからナベサダの、プーさんの、ヒノテルの音楽が始まったと言っても過言ではない。
単なる理論書には無い歴史と精神に鼓舞される。全てのジャズを志すものおよび日本ジャズファン
の愛蔵の書となるべき一冊である。