パリ,テキサス コレクターズ・エディション(初回生産限定) [Blu-ray]
やっと出ましたね。雑誌で知って即予約しました。
絵も音楽もストーリー展開も時間の長さもそしてラストも全て好きです。自分の中の何本かある完璧な映画の中の一本です。
興味があって、今回初めて観る人もいると思うので、あまり詳しくは言いたくはないですが、決してお互い視線を交えて自分の相手に対する想い、その辛さ、そして失ってみて改めて気付く相手の大切さを話す事はなく、あってもそれは数分の事で、大半は一方的に相手を見つめながら、相手の視線を感じながら背を向けてでしか胸の内を晒す事が出来ないシーンは心に強く残ると思います。
そして僅かばかりの希望がありそうながらも、決して明るいとは言えないラストシーン、心に沁みる事間違いないです。
また監督のヴィム・ヴェンダースは小津安二郎監督のファンと言うのは有名ですが、これは小津監督の東京物語と云う作品へのオマージュ、じゃなければ返事、回答とも思えます。
相手に対する想いや愛が強いからと言ってそれが決して幸せには結びつかない、逆に結びつかせるどころか現代は家庭を崩壊させバラバラにするもの以外の何ものでもない、そして想い愛する人を幸せにするにしても、一つ屋根の下に住む事ではなく、一人遠くから思うだけしかない。そんなシビアな視線を感じさせる作品でもあります。
パリ、テキサス【字幕ワイド版】 [VHS]
いろいろなシーンの断片が記憶に残る映画です。主人公トラビスの奥さんの昔の映像が一瞬映るのですが、映画を通して、彼女が笑うのはその古いフィルムの中だけなんです。その笑顔が凄く印象的。その他には、店で振り返る彼女の赤い服や、晴れた日に並べられた色とりどりの靴。ライ・クーダーの音楽。そういうひとつひとつのものやシーンに対する美意識が凄く好きです。なんだか丁寧で大事に撮られたかんじが良いです。
初めてみたのは10代。とりあえず有名な映画を見ておこうという感覚で。その時は、こういうビジュアルばかりに目がいって、でもなんとなく頭の隅にずっと焼き付くといったかんじでした。そしてその断片を見たくて、何年か後に見たとき、不器用すぎる男とその愛に声をあげて泣きました!
パリ、テキサス(オリジナル・サウンドトラック)(紙ジャケット)
これは、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得したヴィム・ヴェンダース監督のロード・ムーヴィー『パリ、テキサス』パリ、テキサス デジタルニューマスター版 [DVD]のサウンドトラックのデジタル・リマスター盤です。
このサントラに引用された映画内のセリフを聴けばわかることなのですが、歳の離れた夫婦と幼い子供が離れ離れになったまま、子どもが自動車の旅の末に再会を果たすも、また一緒に暮らすかどうかは未定という映画のストーリーどおり、ライ・クーダーが、どこか芯の抜けた世界をほとんど自身のスライド・ギター一本の演奏で表現しています。
ひずんだスライド・ギターの演奏が弦の切れたような音を残して終わる最後は、すべてが宙づりになった暗闇の世界を、ぼくらに暗示します。
今回リマスターされたことで音質はよくなりました。でも、日本盤ライナーはアナログLPのものをそのまま転載。9で映画からの英語セリフの引用には、原文と対訳がついていますが、でも、4のラテンの伝承曲の歌詞・対訳はなし。
この日本盤のおまけが貧相なことに対して、星ひとつ減点で星四つの評価にします。
パリ、テキサス
ライクーダの奏でる旋律、間、すべてが体にしみ込むアルバムだ。
オープニングの音も中の台詞も何もかも繰りかえし聞いたはずなのに、聞く度に胸がぎゅっと締め付けられる切ない音のコンポジション。
あなたが既婚者で小さな子供を持っているのなら 是非映画を見てその後に併せて聞いてほしいサントラ。世紀を超えて色褪せない一枚だ。
パリ、テキサス [DVD]
大好きな『ベルリン・天使の詩』のヴェンダースの作品。
人と人が愛し合って家族になって、でもそれで一体どこに辿り着くんだろう?
そんな事をふと考える。
誰かの近くにいることを許されるなんて幸福だ。
でもふと、何かの際に思うことがある。私も、私の大好きな人も本当は独りずつ生きているんだと。どんなに心を許しあった気がしていても他人なんだと。完全に理解する事などできない。自分を理解するのだって難しいのに。
言い争ったり喧嘩をしたりしなくても、たとえば深い青い空を見たとき、たとえば歯ブラシが寂しく立てかけてある時。遠くから自分を見つめ何もかも抱え込んだまま何処かへ彷徨ってしまいそうになる。
決して人には(自分にさえ)触れられない場所が心の奥底にはある。外の空気にさらされる事なくたくさんの蔦が絡まり花が咲いている…あるいは砂漠のように果てしなく乾いた場所。他人どころか、自分にさえ迷宮のその地。
そんな場所に迷い込んでしまったら私は戻ってこれるだろうか。
…誰かが私を見付けてくれるだろうか。