私の家は山の向こう―テレサ・テン十年目の真実
先日読んだ故・米原万里の書評集が滅法面白く、そこで「名著」の太鼓判を捺されていたので読んでみた。感想は、どこか物足りない。
台湾のいわゆる外省人の家族に生まれ、中国との関係を強く意識して生き、しかし天安門事件を目の当たりにして中国の現体制に絶望し、精神のバランスを崩していく一人の女性歌手、という本書の構成は理解できなくもない。テレサ・テンが89年5月末、香港での中国民主化運動支援コンサートに参加する経緯は最大の山場で、この時の歌唱が付録CDに収められている。しかし私は、それでテレサ・テンという人間が腑に落ちた、という気持ちになれない。
CDにはテレサ・テンへのインタビューも収録されているが、率直に言ってこれは「聞きたい言葉」を聞き出すタイプのインタビューだと思う。著者は遠慮がちに、遠回しに、しかし誘導的に質問を差し出しているのではないか。本文中にも著者の想定する図式に収まりきらない彼女の言動が垣間見えるが、十分に展開されていない。そのためか、読後には「歴史に翻弄された」という受動性の印象ばかりが残った(因みに著者HPに本書への書評が再録されており、その中では共同通信社編集委員・岡田充氏の文章が私の疑問を比較的うまく言い当ててくれている)。
余計なことかもしれないが、かつて共産党員だった著者は雑誌・書籍の編集活動の問題から2度の査問を受け、最終的に党を除籍になっており、本書に登場する『北京青年報』の関鍵記者の運命と重なるものを感じた。また共産党絡みで言えば、米原万里の父・米原昶は共産党の衆議院議員だった人だが、著者の遠縁にあたり、祖父とは親しかったらしい(著者HPによる)。
十年愛 [DVD]
私はこの映画好きです。でも、ちょっと話ができすぎかな?10年前に好きだった人を思い、東京、歌舞伎町へ、再会した時は、ホストとキャバクラ嬢。まりはとても一途でかわいかったけれど、こんな話があるのかな・・?と思いました。いやらしくはなく、純な映画でした。
それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条
逆説の10カ条はマザーテレサの言葉だと思っていたが
一部はこの本の著者のものが基礎になっていることを知る。
他人を愛し、他人のために生き
人生において正しいことを行う。
地位や名声を得ることだけが人生ではない。
豊かな人生を歩むためにも必要なことであろう。
「一つの生命の痛みを和らげることができたなら
私人生は無為ではない」
心に刻んで生きていきたい。
ゴールデン☆ベスト ザ・タイガース
ザ・タイガースのベスト盤。
やっぱり知っている曲が少ない。GS全盛時の数曲と、「色つきの女でいてくれよ」位。まあ、これが聞きたかったので不満はまったくないけれど。レコードのジャケット写真が見られたり、バンドやメンバーについての解説なども割と充実していたりと、ただ、ヒット曲を並べただけのベストアルバムとは違って全体的にはいいと思う。メンバーの中で、沢田研二だけ若いのかと思っていたけど、実際はほぼ同年齢だったというのは意外だった。