ウメゾロジー(愛蔵版) 楳図かずおおっかけお散歩漫画 (P-Vine BOOks)
このウメゾロジーは、漫画家楳図かずおそっくりの「追っかけマン」が、楳図かずお本人や、そのゆかりの場所を訪れる、という基本設定となっている。そしてそこには、タスキにも書かれてあるとおり、自分そっくりの「追っかけマン」に追っかけられる楳図かずおの「恐怖」や、かなり忠実に描写された写実的な報告レポートで構成されているのもかかわらず、とにかく『おっかしい』まんがなのである。とは言うものの、本編にはいわゆる「狙った」ギャグや駄洒落の類は存在しない。そこでこのおかしさの原因を探ってみると、おそらくおっそろしく生真面目(と思われる)筆者が「真剣」に、お気楽であるはずの「お散歩」漫画を描いている、という相反するギャップにあるのではなかろうか?チャップリンやキートンのおかしさは、何よりもあの「真剣」さに由来するものであり、これと同質的なおかしさがこのウメゾロジーの目玉になっている。そしてこの本編のラストとして、当初から気になっていた「何故『♀』である筆者が追っかけ『マン』なのか」という疑問に対する答えが描かれており、このラストの結末に今度は読者が「ヒエ〜ッ」と驚くオチとなっている。その他この本には本編以外にも「楳図王国こぼれ話」(四コママンガ)や、筆者の楳図キャラコスプレ写真集、楳図かずお本人へのインタビュー「100人について聞きました」なんぞも付いており、とにかくあらゆる要素がてんこ盛りの一冊となっている。久々に『買って損のない一冊』だったのだ。