イトーヨーカ堂 顧客満足の設計図―仮説・検証にもとづく売り場づくり
どの企業も今、大きな変革を迫られているが、この本は次の点で多くの示唆に富んだ実践的な経営改革のための好著であり、時宜を得た著書と言える。
まず第一に、多くの企業はこれまで経営改革に取り組んできたが、改革の実行力をあげ、成果に結びつけた企業は多くはない。とりわけそれを組織のDNAにまで昇華してきた企業は極めて少ないと言える。
イトーヨーカ堂の「業革」は20数年に渡り、顧客の目線から、生(現場)情報を全社で共有し、社内だけに止まらず、バリューチェーン全体の変革に取り組んできたこと、そしてその改革徹底力は注目に値し、経営改革の成功のヒントが多々示されている。
第二にメーカーの工場を中心とした事業と異なり、多店舗を中心とし、多様なニーズに対応する分散型事業であり、この分散型事業の改革マネジメントはメーカーとは異なる難しさがある。分散型のサービス経済化、グローバル化が進展する中でイトーヨーカ堂の改革マネジメントはこれからの経営改革に向け、多くの示唆に富んだものである。
第三に経営者が書いた著書の多くはその人の経営哲学や経営の基本的考え方を表したものが多いが、この本は実際に経営を担ってきた著者が経営の立場、経営者の問題意識にたった実践的経営書である。それだけにこの本は「全体最適に向けた改革設計図」をどう描き、どう具体化するかという著者の問題意識が随所に示されている。部分最適に終始し、改革の実効が上がらない多くの日本企業にとって非常に参考になるものと言える。単に流通業に止まらず、業種に関係なく参考になるものと言える。
Tender grain
電子音が奏でる美しく優雅な一時を与えてくれました。
アルバム冒頭から光の粒子さながらに煌めくサウンドが、波状攻撃とばかりに清涼感満載に降り注いで、フワフワと気持ち良くなれる、全体的に中毒性を秘めた作品でした。
朝は清々しく、昼は和み、夕暮れには切なく、夜には星が降り注ぐような、その時間帯毎に様々な情景を捉える色彩豊かな楽曲の数々です。
巨龍に挑む―中国の流通を変えたイトーヨーカ堂のサムライたち-
イトーヨーカドーが初めて中国に出店した時の様子が、ノンフィクションで描かれている。
最初は、カンブリアとか、ガイアとか、プロジェクトxなどの場面が浮かんで熱くなったのだが、どんどん読むうちに、「中国ってなんてひどい国なのだ」と呆れて、あまりのデタラメに怒りを覚えた。
スタッフとして採用した人が、店の物を盗む。その盗みを防止する為に採用した警備員も盗む。
店内で唾を吐き散らかす。自分のミスを絶対に認めず、全て他人のせいにする。
チラシを配布するバイトを雇ったら、撒かずに捨ててしまう。その為に配布を監視する人を雇う。真面目にして欲しければリベートを要求。
売ってやるという意識しかないので、客にありがとうとかお礼を言う習慣がない。研修の途中で、どんどん辞めて行く。
工事の業者は納期などは全く守ろうと言う気持ちはなく、更に遅れたくなければ…と言う事で、リベートを要求。
オープンしたらトイレのペーパーを盗む。ペーパーどころか、信じられない事に、便器まで持っていかれたらしい。トイレではなく、店内のはしっこで子供にオシッコを平気でさせる親。
仕入れの業者はニセの免許でバイヤーをだます。
こんな事が延々と書かれていると、文化が違うどころの話ではなく、人類としてどうなのかと思ってしまう。この本中国の人が読んでも別に何とも思わないのだろうか?
そんな苦労をしながら、文字通り年中無休で不眠不休で頑張った結果5年後位に黒字転換したところで話が終っている。
そのハッピーエンドを打ち消す、SARSの問題、反日デモの問題。
ここでも中国の隠蔽体質、いい加減さ、暴力性…。
この本は、イトーヨーカドーの成功を告知すると言うより、中国の酷さの告発の書にしか思えない。