軍歌・戦時歌謡大全集2/昭和の軍歌
軍歌戦時歌謡大全集/昭和の軍歌ということで「~軍の歌」と言った軍隊の歌が中心です。
これらの歌は戦時歌謡の様な味や哀愁は無いけれど、勇ましくて気分(当時で言う戦意?)が高まって来ます。
ついでに、1,4,5,8,9,13,14,16曲目がステレオ録音で、他が当時のモノラル録音となっています。
バカモン!波平、ニッポンを叱る
アニメ番組での登場人物の声や洋画の吹き替えで、それ以外でもいろんな番組で
ナレーターとしておなじみの大ベテラン声優さんのエッセイ本。お名前までは
知らなくとも、表紙とタイトルになっている『サザエさん』のお父さん・波平さん
を40年にわたって演じておられるのはこの方と言えば皆さんおわかりでしょう。
「先生方を相手に酒を飲んで、ほざいて、くだまいて、うさをはらすのが主旨です」
とおっしゃいますが、人生の大先輩から「真面目な話なんだけどでも気楽に聞いておくれよ」
という感じで、【古き良き日本のお父さん】代表のような波平さんなら、現在(書かれた
時期から10年ほど経ちましたが…)の社会や教育が抱える問題についてこう考えるんじゃ
ないか、という風にストレートに、厳しくもあたたかい提言をしておられます。
波平さんの子供世代である永井さんご自身は「むしろノンポリで普通のサラリーマン
だと思う」という波平さんをはじめとした、ご自身の親世代の人たちへの敬愛の念も
見え隠れしていて、NHKで放送されている『百歳バンザイ!』のナレーションにも通じる
ものも感じられます。もちろん、第二次世界大戦中に10代だったご自身の戦争体験についてや
昭和一ケタの大先輩(団塊ジュニアにとっては祖父母と両親の間の世代であり、職場で
出会うにはサラリーマンだと退職と就職が行き違いになってしまった、先生と生徒と
しても、日常接することの少ない管理職や大ベテランすぎて接しづらい先生だった、
接点の少ない年代の皆さんだと感じています)ならではの提言もいっぱいです。
語り口は時に、天才的柔道家の孫娘をなんとしてでもオリンピックに出そう!と画策する
ヤンチャで頑固なのになぜか憎めない柔道の達人で超健啖家のおじいさん(『YAWARA!』
のおじいちゃん)の視点のようにも、猫社会においてはかつてのライバルの息子を温かく
見守る伝説の侠客であり、人間社会をクールに観察しつつも一方では飼い主の女の子の
ために算盤も使えばホルモン焼き屋さんの手伝いまでやってのけるスーパーキャット
(『じゃりン子チエ』の小鉄)の視点のようにも思えるので、俳優さんってこんなふうに
いろんな視点からものを見て考えて書く・語るのが訓練でもあり仕事でもあるんだな、と
いうことも今更ながらにわかります。
これ本当に新刊では入手不可ですか?出版元が出版元だけに、文庫で復活させてくれ
ませんかね?
質的研究の方法―いのちの“現場”を読みとく
研究法で迷っている時に手に取りましたが、質的研究について個人的な経験から率直に語り合う両先生の言葉を追いながら、目からうろこが落ちるような学びの体験をしました。質的研究に初めて取り組もうとしている方に強くお薦めします。
この本のメイン部分は、共に文化人類学者である語り手(波平先生)と聴き手(小田先生)のインタビューをそのまま再現した形になっています。単にノウハウをまとめた教科書とは全く異なり、質的研究に携わるとはどういうことなのか、まるで先輩方から親しく話を聞くかのように読むことが出来ます。研究の課題はどうやってみつけるのか、行き詰った時に何をしたのか、調査先との関係は???など、実際に研究を進める上で必ず直面する出来事について、実際にどう対処してこられたのかが具体的に語られているからです。
私自身大学院の博士課程で学ぶ身ですが、この本に出会わなかったら、今のような形で質的研究に取り組むことはなかっただろうと思います。私の研究の方向性を決めた大切な一冊です。