発達障害は治りますか?
「治る」をどう捉えるか?
薬が副作用を呼び、その副作用を止めるために又別の薬を飲むという、薬漬けとも言える状態でいた患者が、その量を減らし(または止め)、フラッシュバックやパニック状態を自分でコントロールできるようになり、対人関係が改善して、QOLが上がれば、それは本質的に「障がい」が無くなったわけではなくとも、広義での「治る」と言ってよいのではないか。
神田橋氏の著作は初見だが、薬に頼ったり、長いカウンセリングを行うといった従来の方法では無く、漢方薬・頭を8の時に回す・主にカイロプラクティックで使用されるアクティベーター器による神経の矯正・ちょっと死んでみる養生のように症状を利用した養生など、確立されたエビデンスに拘らず、患者自身が取り組めるような代替療法を積極的に取り入れており、私自身が西洋医学信奉者でないこともあって、興味深く読んだ。
氏は、気功や歩き方の運動療法、整体などを、今も追い続けているようで、その意味ではより良い治療法を開発しているのと同時に、患者をモルモットとし続けているとも言える。
だが、前述程度であれば取り返しのつかないような副作用が起こる危険性も少なく、少なくともそれ以前に手は打つだろうから、許容範囲内と言えるかもしれない。
行列が出来る精神科医である事がそれを証明しているようにも思うが、詳しくは転院するようなケースもあるかもしれず、不明だが。
但し、対談者がいずれも神田橋氏に対し否定的な意見を言わず、
「確実に効くのはうつ病。うつ病には、現在出ているどの薬も治療効果は電気ショックに及びません」
「電気ショックより効く薬はまだうつ病については発明されていないんです。危険性から考えると、
薬のほうがずっと危険です。電気ショックの危険率は1万回に1回くらいです」
(月刊ぜんかれん、2006年2月号)
との発言からバッシングを呼び、その後謝罪した、電パチ肯定論のような過ちが過去にあった事をあぶり出しているわけではなく、礼賛に徹しているのは不満。
これだけの紙幅があるのだから、前述の著者の治療があわなかった患者にも対談に加わってもらう箇所を設けて欲しかった。
岩永氏も「対談というより教えを請う」とあとがきで述べているが、それは代替療法や養生への気付きで終わっており、著者が「身体から(どうして欲しいか)呼びかけてくる」と言う“眼”をどう持つかといった治療法継承への実際の点についても触れられておらず、その点も残念だった。
人間の証明 VOL.2 [DVD]
遅筆で知られた早坂暁が13本すべてを書いたシリーズの第2巻、4〜6回。この3本では、主人公の華道家が溺愛する息子が起こした交通事故の、逃げる加害者と行方不明の妻を捜す夫と、妻の愛人との奇妙なタッグが描かれる。早坂が連続で執筆した脚本としては最長と思われるが、原作に出てくる登場人物を、小説以上に複雑に、有機的に絡み合わせた構成で、まるで密教の曼荼羅絵を見るよう。主人公の華道家に高峯美枝子、息子・北公次、そのガールフレンド・高沢順子、行方不明の妻が篠ひる子、夫(岸部シロー)、妻の愛人(中丸忠雄)ほか出演。第一話で起こった殺人事件を追う刑事、棟居を演じるのは林隆三である。森村誠一の原作には登場しない政治ゴロ(内田朝雄)、第一話で主人公と同じ飛行機でニューヨークから羽田に到着した日系二世のダン安川(戸浦六広)と、主人公、刑事、夫と愛人が同じ銀座のクラブに集まるという、普通ならバラエティの寸劇のような偶然が、みごとなドラマになっている。私は、早坂暁氏、最高のドラマだと思う。
人間の証明 VOL.1 [DVD]
さすがにもうDVD化は困難かと思っていたテレビ作品がこの時期発売とのことでビックリでした。映画版やいくつかのテレビ版がある
「人間の証明」ですが、個人的には多感な中学生のころに観たということもあり、この高峰三枝子、林隆三の78年テレビ版が一番好きで、
『でももう観ることもできないのかな…』とあきらめていたので本当にうれしいです!
先のお二人以外の出演者も、北公次(いま見ると結構ファッションとかもカッコイイ)、高沢順子(キュート!この人だけ映画版にも出演)、
戸浦六宏(個性派名悪役、個人的に大好きでした)、多岐川裕美(今のアイドルじゃとても太刀打ちできない美貌、激カワユス)、北村総一郎
(本作では刑事役→いまや湾岸所所長(笑))、岸部シロー、佐藤慶、山村聰、岸本加世子、篠ヒロコ、中丸忠雄、絵沢萌子、、、と、
そうそうたる俳優/女優陣です。
一般的には松田優作の映画版が一番人気だと思いますが、テレビシリーズならでは(映画では2時間前後の制約があるので)の個々の掘り下げた
エピソードや、淡々と(しかし熱く)演じる林隆三の棟居刑事と、あくまで凛とした高峰三枝子の八杉恭子が本当に素晴らしいです。
この作品では作中のテーマ音楽が1曲しかなく、多少アレンジをかえつつ常にその曲が流れるのも印象的です。(エンディングはりりィの唄)
このハイビジョン時代に30年以上も前のテレビドラマですので、映像は手放しでお勧めできるものではありませんが、それなりにキレイには
なっていました(特にそのへんについて記載なし)。
放映時期と年齢がリンクする40代のかたはもちろん、若い方にもぜひ一度見てもらいたい作品です。
PS:のちにこの時間帯に放送された「白昼の死角」も名作です。DVD化熱望!!
昭和ガールズ歌謡 レアシングルコレクション~ミッドナイトローズ/謎の女B~
ガールズ歌謡という視点からは、他の方々のレビューにある通りだと思う。
あえて付け加えるなら、本盤は、この手のコンピレーションの中では、懐かしい昭和の女優の歌がいくつも含まれている点に、特色がある。
16曲目「愛ってなあに」の篠ヒロコあたりは、説明不要だろう。
1曲目「東京スカ娘」の中川ゆき、8曲目「帰って来てね」の南弘子の2人は、『ウルトラQ』『ウルトラマン』でおなじみの桜井浩子とともに、「スリーチャッピーズ」と呼ばれてアイドル的に扱われていた東宝の女優さん。
映画『お姐ちゃん三代記』で、「なんでもやっちゃおう」を歌って踊っていた人たちである。
(「なんでもやっちゃおう」は、『ALWAYS 青春シネマ編』に収録されている)
2曲目「スカーレットの花」の西尾三枝子は、言うまでもなく『プレイガール』のレギュラー陣の1人として人気の高かった人。
ここでは、日活女優時代の清楚な歌声が聴ける。
7曲目「謎の女B」を歌っている曽我町子は、もちろん『オバケのQ太郎』のQ太郎をはじめ声優としても活躍し、東映の戦隊モノや『レインボーマン』など特撮ヒーロー番組の悪役としても高名な、あの人である。
この曲は日活映画『華やかな女豹』(1969年)の挿入歌でもあるため、高波敬太郎選曲・監修の『エロチカ狂想曲』にも入っている。
(「歌:平岡精二」となっているが、実際に収録されているのは曽我町子の歌唱)
18曲目「夜の浜辺で」の水沢有美は、日本テレビ系の青春ドラマに、1960年代の若い頃は女子高生役で、1970年代に入ってからは教師役などで、長く出演していた人。
そして19曲目「誰かおしえて」の城野ゆきは、『キャプテンウルトラ』のアカネ隊員役など、こちらも1960年代から70年代にかけて活躍した女優さんだった。
こうした女優さんたちの、存在すら知らなかった歌に出会えるのも、コンピレーションの妙味と言えるだろう。