Gold: Best of Spandau Ballet
「GOLD」「TRUE」「COMMUNICATION」とヒット曲ばかり、構成がいやらしいほどにうれしくて、さすがに一発屋で終わらなかった彼等の実力がわかるといえる内容に、狂喜乱舞。WHAMやDURAN DURANにくらべるとスーパーヒットといえるものはやはり「TRUE」なのだが、80年代ディスコブームにはまった人ならば即買いです。聴いていてうれしい、と思ってしまえるのも買いでしょう。
いまさらながらに感じるのがサックスが絶妙なんですね、これほどいやらしい感じをかもしだすのはなかなか。チープさはABCやKAJA GOO GOOに比べるとより高級感がありますね。肝のキーボードアレンジがよかったせいでしょう。
日本人でカバーできるといったら及川光博、岡村靖幸あたりくらいでしょうか?
Live From the Nec [DVD] [Import]
日本ではTRUE以降あまり目立たなかった彼らですが、私の中ではChant No.1の頃からずっとSpandau Balletが一番でした。
このDVDは画質も素晴らしく、ほとんどTVで観る事の出来なかったプロモやメイキングがあったり、コンサートでアンコールに戻るまでのバックステージの模様まで見られてとても充実していると言えます。
残念なのは、解散してしまった彼らが皆一緒の姿が過去のものだということ。DVD制作に力を注いだGary Kempと弟のMartin Kempの解説入りになっていますが、私は全員の話がもっと聞きたかったです。
しかし、だからこそこのディスクがとても貴重なものになると思います。
脂ののりきった素晴らしく輝いていた彼らの姿に、自分もあの頃の情熱を思い起こしました。
Once More
今回、再集結ブームの大トリだったスパンダー・バレエ。見た目は確実に年を取ってはいるが、音楽のクォリティーは維持されているどころか、確実に洗練されている。
代表曲たちを単に再レコーディングしただけでなく、新たな命を吹き込んだところに、彼らの意気込み、情熱を感じずにはいられない。
正直、最初はオリジナルの方が長年耳に馴染んでいるため、違和感が全く無かったわけではない。例えば、メロディの盛り上がるべきところでキーが下がったり、囁く様な歌い方になったりで、やや拍子抜けする箇所も否めない。だが反面、どの曲も終盤に向かうと、シアトリカルなトニーの伸びやかなヴォーカルが聴ける。
また、もともとはエレクトリック・ギターを駆使していたが、今回はアコースティック・ギターでアレンジされている。かといって、一昔前にロック・バンドが流行らせた「アンプラグド」的な音作りではなく、むしろ「オーガニック・サウンド」ともいうべき、心に深く、癒し効果をもって溶け込んでゆく。
オリジナルの、若さゆえの、悪く言えばいささか荒削りな演奏ももちろん素晴らしいが、今回は、しっとりと落ち着いた、大人にしか出せない魅力にあふれている。
それにしても、トニー・ハドリーのヴォーカルは年齢を重ねても、全く声質が衰えておらず、相変わらず艶があって、若々しい。むしろ更に表現力、テクニックに磨きがかかっている。
往年のファンの人だけではなく、すべてのリスナーにぜひ聴いてほしい。環境音楽を越えた、新たな生命力にあふれた、スパンダー・バレエに、心から拍手を送りたい。