吉野・大峯の古道を歩く―紀伊山地の霊場と参詣道 (歩く旅シリーズ 街道・古道)
タイトルの期待通りの内容に満足しています。ヤマケイの本は写真のきれいさに気が配られていて、かつ各ページに多用されている地図もわかりやすい印刷で気に入っています。わたしは10年以上前大阪勤務時代に吉野や高野山に近鉄(阿倍野)、南海高野線でいったことがあります。高野山はもう一回還暦記念のバス旅行で田辺、龍神経由で登ったことがある程度です。「世界遺産登録に向けて」という巻頭の記事は歴史的文化的な意義を短く的確に解説していて この地域を深い興味に誘ってくれます。わたしは大峯奥駈け道(テレビで修行の様子を以前見たことがありますが)や熊野古道に興味があるのですがなかなかいくことができません。この本の解説は十分満足させてくれます。いつか行くことができればという期待を込めて知識を満足させてくれます。金峯山寺執行長(当時)の書かれている奥駈け道の解説もかなり詳しく西行庵から少し先をのぞいた我が身としては興味津々です。また、その後の続く記事「吉野の四季と歴史」桐井雅行さんが四季ごとに人物テーマ選んで解説されています。足利尊氏の湊川の戦いのいきさつは太平記をしっかり読んだことのないわたしにとって丁寧な解説です。本居宣長が吉野の水分神社まで伊勢松阪から往復10日をかけて通ったという。亡くなる直前の70歳にも水分神社にきているという。多くの山越えと相当な高さにある水分神社まで通ったという力に尊敬と敬意を感じます。この本のこのあとの記事、地図もそれぞれ心配りを感じて、その場所にいってみたい、もう少し調べてみたい気になりました。
世界遺産 熊野古道を歩く 紀伊山地の霊場と表詣道 (楽学ブックス 文学歴史 3)
熊野古道は平成16年「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された。
参詣道の一つである「熊野古道・伊勢路」はお伊勢参りを終えた旅人たちが「熊野三山(本宮・那智・速玉)」や「西国三十三所詣で」のために巡った巡礼の道である。
代表的なルートは紀伊半島を西回りする「紀伊路」と、東回りの「伊勢路(東熊野街道)」があるが、前者は平安末期から鎌倉期にかけて盛んに行われた皇族らの御幸ルート。道筋には休憩所を兼ねた王子社がまつられていた。これに対して後者は、江戸時代に伊勢参宮を終えた旅人達が辿ったルートで、いわば庶民の道であった。
本書で特筆すべきは、挿入されているエピソードの豊富さであろう。
「安珍清姫伝説の舞台、道成寺」「新宮が生んだ文士・佐藤春夫と中上健次」「定家が歩いた紀伊路」「今も信仰さめる『日本書紀』の舞台」「一遍上人と熊野の神」など、歴史文化の伝統を湛えた世界遺産として紹介している。その懐の深さが魅力となっている。
参詣道の一つである「熊野古道・伊勢路」はお伊勢参りを終えた旅人たちが「熊野三山(本宮・那智・速玉)」や「西国三十三所詣で」のために巡った巡礼の道である。
代表的なルートは紀伊半島を西回りする「紀伊路」と、東回りの「伊勢路(東熊野街道)」があるが、前者は平安末期から鎌倉期にかけて盛んに行われた皇族らの御幸ルート。道筋には休憩所を兼ねた王子社がまつられていた。これに対して後者は、江戸時代に伊勢参宮を終えた旅人達が辿ったルートで、いわば庶民の道であった。
本書で特筆すべきは、挿入されているエピソードの豊富さであろう。
「安珍清姫伝説の舞台、道成寺」「新宮が生んだ文士・佐藤春夫と中上健次」「定家が歩いた紀伊路」「今も信仰さめる『日本書紀』の舞台」「一遍上人と熊野の神」など、歴史文化の伝統を湛えた世界遺産として紹介している。その懐の深さが魅力となっている。