綾辻行人・有栖川有栖からの挑戦状(2) 安楽椅子探偵、再び [DVD]
これはシリーズ最高傑作の呼び声が高い作品です。本格ミステリーであり筋が通った出来です。謎解きが非常に楽しく、役者陣が面白い。山崎銀之丞や川原和久、犬山犬子の演技が光り輝く痛快作。
双頭の悪魔~犯人はお前だ~ [VHS]
『双頭の悪魔』の映像化作品の解決篇です。
『双頭の悪魔〜真犯人は誰だ〜』が出題篇になりますが、前半に出題篇のダイジェストがついているので、こちらだけ見ても一応は楽しめるようになっています。
本格推理小説の映像化作品としてはよくできていて、原作ファンは勿論、原作を知らない人でも大いに楽しめると思います。
ただし、犯人当てドラマとしてみるなら、是非出題篇から見ましょう。
圧巻はアリスたちが推理合戦を繰り広げる場面です。ぐるぐると真相の周りを迷走しながらもついに犯人に到達するシーンはバック・ミュージックや効果音もよく、非常に楽しめます。
(和室で車座になって議論をしているだけなので映像的には地味ですが)
TRICK×LOGIC Season1
アドベンチャーもの、チュンソフトが好きなので、
こちらのレビューを見て購入。
ゲームというか、電子ブックを読んでいる感覚に近いです。
ミステリー愛読者の方は楽しめると思います。
ただ、このゲームはあくまで「トリック」を「ロジカル」に
暴いていくことが求められています。
つまり、動機は考えなくてよい、というもの。
考え方は分かるのですが、動機という要素が
ミステリーを面白くしているのか、よくわかりました。
トリック・ロジックだけのミステリーは自分には合わないと。
という理由で、☆は若干控えめです。
あとは主人公の台詞、棒読みなのが気になる程度。
トリックを暴くことが好きな方は堪らないのではないでしょうか。
BGMも読書?にはピッタリのラインナップです。
安楽椅子探偵 ON AIR [DVD]
綾辻行人、有栖川有栖原案の犯人当てミステリードラマの第6弾。今回は徹底的にテレビという媒体を使って、視聴者を翻弄した作品。一度観て違和感を感じたという人でも、全ての謎を解き明かすのは難しいと思う。
これ位レベルの高い犯人当てなら、2時間サスペンスの原案書いてくれないかな。でも、この作品は映像ならではのトリックというか伏線があるので、そこから真相を紐解いていけるかも。ただし、このシリーズ、少なくとも二度観る価値があると言わせてもらう。
一度目は普通に観る。二度目は伏線、手がかりを探しながら観ていく。そうやって観ることでミステリーの面白さがわかる。ということで、是非このDVDでミステリーの本当の面白さを堪能して頂きたい。
女王国の城 上 (創元推理文庫)
江神次郎シリーズ(学生アリスシリーズともいう)の第4弾である。文庫で上下巻の2分冊。このシリーズの長編は前作発表から10年以上たっていて、なかなかスゴイ状態ではある。
時代はバブル崩壊前夜ごろ。岐阜の山奥の新興宗教本拠地にそびえる「城」を巡って、謎また謎の連打、殺人につぐ殺人が巻き起こるのを、江神さんがばっさり!と解き明かすのだ。
物語のかなり冒頭から、とある事情で警察が事件に介入できない状況が発生、やむを得ず江神さんほかミステリ研の面々が謎に挑むのだが、、、と、この設定自体について当初、ありゃりゃそんな安直な「嵐の孤島」状況ですかぁ、と思ってしまった私は相当浅はかでした。うぅ、そんな伏線でしたかー、完全にやられました。そういわれれば確かに○○の言動とか、やたらめったら不自然なんですよねー。
バブル崩壊前夜という時代設定も巧みだ。作中でもチラッと触れられるが、そう、アレが普及してしまっているとこの話はほとんど成り立たないのだ。(言い方を変えると、その時代を経験したことのない若い読者だと、この作品の世界に没入できないかも知れない。それはそれである意味不幸なのかも。)
そもそもミステリ研が事件に絡むきっかけとなった江神さんの謎の行動についても、最後にはその理由が明らかになる。有栖川(の長編)作品は、徹底してロジックを埋めてくるので、読んでいてとても安心だ。作中に大量にちりばめられた謎の数々が、最後の最後にすべて綺麗にクリアーになる、という構成自体、ミステリの王道とも言えるでしょう。あー読んでよかった・・・と心から思える出来ですね。