アカペラ100%‾聖なる祈りのうたごえ
アカペラ(無伴奏合唱曲)ばかりを集めた100%シリーズの第4段です。この手のコンピレーション・アルバムは、ともすれば誰もが知っているような「名曲集」の性格が強くなりますが、このアルバムは聴き応えがありましたので、長年合唱に携わってきた方でも満足されるのではないでしょうか。また逆にアカペラの美しい合唱曲を求めている人には打ってつけのアルバムだと思いました。
オリヴィエ・メシアンの「聖なる晩餐」は難しいですが、良い曲でした。このようなめったに聴けない曲の収録はうれしかったですね。
当方のお気に入りであるサミュエル・バーバーの「アニュス・デイ(神の子羊)」も良い演奏でした。「弦楽のためのアダージョ」にアニュス・デイの歌詞をあて、宗教曲に仕上げた物ですが、とてもうまくマッチしている名曲です。リチャード・マーロウ指揮、ケンブリッジ・トリニティ・カレッジ聖歌隊は、表現力のいるこの難曲を敬虔な祈りを込めて歌い上げていました。
ブラームスの「静かな夜に」、ブルックナーの「アヴェ・マリア」、シューベルトの「聖なるかな」のような古典的な名曲も良かったですが、17世紀初頭のトムキンズの「その時ダヴィドが嘆き悲しみ」や アレグリの名曲「ミゼレーレ」も違和感無く解けこんでいました。
近現代の合唱曲が中心ですので、実際に演奏する場合の参考になる編集だと思います。
デュリュフレの「いつくしみと愛のあるところ」やプーランクの「主よ,何とぞ,われを引きあげさせたまえ」は穏やかな気分にさせてくれる曲でしたし、ロバート・モランの「7つの見えない音」もなかなか興味深い曲で印象に残りました。
全般的に曲の解説がもう少し詳しく書いてあれば鑑賞の際、助かるのにと思いました。選曲がいいだけに惜しいですね。
愛が見えない
1995年作品。A面はアルバムToday is another day収録。やや初期のようなロック調のヒット曲。B面がいいのでコメントしたい。高校時代の仲間との思い出を都会に出た今回想する爽やかなバラード曲で、詩、曲とも共感がもてる。坂井さんも20歳台後半のはずで、こうした情緒・イメージが湧いてきたのだろう
愛と心のうた(新潟ライブ)
一枚目は、少しがっかりします。武満徹のメモリアルコンサートなのですが、その武満の歌を歌うのに、表現があくどすぎる気がしました。(どちらかといえば歌手より編曲者のほうの問題と思われましたが)
戦争反対のメッセージソングが並べられているため、鮫島有美子自身も力が入ってしまったのか、普段日本歌曲を歌うときには絶対にやらないような、イタリアオペラみたいな力んだ表現をしているところがあって、それが日本語の美しさを壊してしまっていると感じました。
二枚目のジャズの方は、こちらはもう、素晴らしい。これは星七つか八つくらい並べたいですね。
ガーシュウィンのパンチのきかせかた、また同じ武満でもこちらで歌っているほうは、もうノリノリで、鮫島有美子が楽しんで歌っていることがはっきりと伝わってきます。
二枚目を聞くためだけにでも、買う価値ありますよ。
救われた団地犬ダン―見えないひとみに見えた愛
平成5年の夏 団地に住む望ちゃんと希ちゃんは幼稚園の帰り
団地の裏の小川を流れていく箱を見つけました。
「なにか白いものが動いているよ」 二人は箱を拾いあげました。
中で生まれて間もない白い子犬がブルブルと震えています。
抱きしめても震えは、おさまりません。
このまま放っておいたら死ぬかもしれません。
小さな命の入ったダンボール箱を二人は団地に持って帰りました。
自転車置き場の隅に子犬の入ったダンボール箱を置いて
毎日、食べ物や牛乳を上げました。
箱を、よじ登って這い出した子犬は、いつも決まって
その場でクルクルと、いつまでも回り続けます。
じつは白い子犬は生まれたときから、ぜんぜん目が見えなかったのです。
「盲導犬は目の見えない人を助けるのに、なぜ目の見えない犬を助けてはいけないの」
二人の、のぞみちゃんの言葉が大人を動かし
犬は飼えないという団地のルールをかえました。
目が見えない過酷なハンディーを背負って生まれた可哀想なダン。
二人の、のぞみちゃんが見つけていなかったら
小さな命は流されて儚く消えてたはずです。
だけど今、とても優しい坂本のじっちゃんがいて
ダンのことを、いつも優しく見守ってくれます。
周りの人の優しさと思いやりの心に触れて
目は見えないけれど、ダンは今とても幸せです。
ものすごく温和で優しげなダンの写真。
温かい優しさに包まれて育ったから
こんなにも優しいダンになれたのでしょう。
盲目という過酷な運命を背負って生まれたダン。
だけど二人の、のぞみちゃんに救われて
大好きな坂本のじっちゃんに大切に育ててもらって
ダンの一生は、とても、幸せだったはずです。
命の尊さが心に伝わってくる、感動の実話です。