パラサイト・バイティング 食人草 スペシャル・エディション [DVD]
遺跡内を探検する話かと思ってたら違いましたね(少しは内部に入るけど)。大半は階段ピラミッドの
最上段で過ごし、周りを現地住民に囲まれた状況での篭城戦という感じ。さらに、そこには人食い
植物が群生しており、早く脱出しなければ水が、食料が‥‥といった展開ですね。
現地住民は、その植物に触れた者が遺跡の外へ出ることを許さない。周りを囲んで獲物を逃がすまいと
するだけで、襲って来たりはせずにひたすら主人公達が植物に食われるのを待つ。でも現地住民で植物に
触れた者は仲間だろうと迷わず撃ち殺します(子供だぜ!?)。
人食い植物と言ってもバクバク食べるんでなく、人の体内に侵入して皮膚の下をウネウネと脳に
向かって這い進んで行くってヤツです。侵入された人はだんだんおかしくなっていくようです。
被害妄想や自傷行為に走って危機的状況に拍車をかけてくれます。
所々に結構痛々しい描写もありますが、怪奇植物よりも人の手によるものが多いですね。
肌に切れ目を入れて植物をズルズル引きずり出したり、即席切断手術とか(麻酔無しだぜ!?)…。
マヤ遺跡を舞台に展開するホラーってのはなかなか新鮮だったし、植物の持つ声帯模写の習性なんかは
バカバカしいけど何かスキなので、結構楽しめたと思います。
3つのジムノペディ~サティ・ピアノ作品集
サティを「ヒーリング音楽」と評価する人が多いですが、聴き手に優しい「ヒーリング音楽」「イージーリスニング」「ラウンジ」の類ではありません。好き嫌いが分かれるのも無理はありません。私は「音楽のアールデコ」だと思います。直線と幾何学模様で構成されるアールデコは、クールで無機質なのに、ユーモアと叙情性が有るところが魅力ですが、サティにもそれを感じます。普通のクラシックは感傷的過ぎるし、現代音楽はあまりにも理性的・構築的で叙情性が無さ過ぎる。私にとってサティはとてもバランスが良いです。
パスカル・ロジェの演奏は、技術は何も文句の付け様が無く、詩情豊かに弾いています。
サティが好きな人は必聴。サティは好きじゃなくても、パスカル・ロジェの演奏を聴くだけでも価値が有ります。
アンビエントやエレクトロニカ、ジャズのファンにもお薦めです。
ラヴェル:ピアノ曲全集
この世代のフランスのピアニストにはありがちだと思いますが、アーティキュレーションやフレージングの特徴づけが弱いので、個々の曲のキャラクターがはっきりしない演奏になっています。とはいえテクニック的な切れ味はあって、難曲でもスイスイ弾いているのは見事(だから余計に印象に残らない)。
音質の悪さに関しては他の人も書いているとおりで、さまざまなタッチを駆使して微妙な音色表現をしたであろうピアニッシモが単にモゴモゴした弱音に成り下がっているのは可哀想だと思います。音質が改善されたら★4つにしたいです。
マーターズ [DVD]
何が何やら解らないうちにどんどん悲劇に引きずられました。こんな事があったらそうとう恐いです。無機質です。ひたすら攻撃のあげくいろんな意味で強烈なラストにたどり着きます。オーディオコメンタリーもある意味ショッキングでしたよ。
ドビュッシー:ピアノ曲集
ドビュッシーの曲を演奏しているピアニストは山ほどいます。情感たっぷりな解釈からあっさりした解釈まで色々ありますが、このCDの演奏は「淡白寄りの中庸」な解釈だと思います。人の感性は色々ですので、教科書通りでつまらない演奏と評する人もいるかもしれませんが、個人的にはドビュッシーはこれくらいの濃さが聴きやすいです。自分でドビュッシーの曲を弾く時は、無意識のうちにド演歌風にネットリとやりすぎてしまうので、その矯正のためにもこのCDをお手本としています。