僕達急行 A列車で行こう <豪華版> (初回限定生産) [Blu-ray]
本作は自身も鉄道ファンだという森田監督が、長年温めてきた企画らしい。
特典映像のインタビューでは「ようやく僕の時代が来たかな」と語り、
また「出来ればシリーズ化したい」と目を輝かしていたのが印象的だ。
正直、個人的にはここ数年の森田組の仕事で「これ!」というシャシンが
なかったので、本作の出来は嬉しかったと同時に、大変な日本の財産を
失ったのだなあ・・・ということを改めて感じる。
肩ひじ張らないスタイルは「間宮兄弟」のようなノリだが、演じる主演
ふたりが「旬」のマツケンと瑛太コンビだけあり、暖かだが締まった作風を
醸し出していた。
貫地谷しほりや村川絵梨、近野成美といった若手から伊武雅刀、笹野高史、
そして松坂慶子までこれだけの布陣が助演で揃えば、まあつまらなくは
ならない(笑)。
誰も悪人は出てこないし、また丸の内の大企業と蒲田の町工場の
コントラストを上手く使い、最後は大団円にまとめるところなども流石だ。
鉄オタムーヴィーではなく、きちんと社会性のあるシャシンになっている
のが凄いのだ。
独特なカメラワークや小津作品のような会話のテンポ、そして森繁作品への
敬意まで、監督はもしかしたら「何か」を感じていたのかもしれないね。
Nゲージを前にした主演ふたりとピエールの会話シーンなんて、あんな
撮り方観たことが無い!
特典ディスクはDVDでメイキングと森田監督インタビュー、それと監督の
いないイベント映像集が収録されている。
最後に「ありがとう、森田芳光」とクレジットに出るが、特典映像では
そんなに感傷的な場面はない。こういう爽やかな送り方が似合う監督
だったからね。星は4つです。
僕達急行 A列車で行こう [DVD]
エミレーツ機内映画で観賞
タイトルはTrain Brain Expressでした。
なんかほのぼのした映画で良かったです。
いわゆる鉄ちゃんの話なんですが、いろんな分野別の鉄ちゃんが出てくるわけ。
飛行機に乗らないで電車で移動するなんてシーンも良いですね。
自然の景色の中を進むローカル車両。
外の景色がまったく見えないリニア新幹線なんか絶対いらないわけですよ。さらにトンネルだらけだし。
僕達急行 A列車で行こう [Blu-ray]
不動産会社社員・小町(松山ケンイチ)と経営の傾きかけた鉄工所の2代目・小玉(瑛太)、共に鉄道をこよなく愛する2人が、偶然知り合い交流を深めていく物語。松山ケンイチさんの草食男子っぷりがお見事です。小町が九州に左遷され、時を同じくして、いよいよ経営環境の厳しくなった小玉の鉄工所が、これまた鉄道をこよなく愛する人物と知遇を得たことで180度状況が逆転していく展開は、「ご都合主義」(笑)って感じですが、ほっこりできる作品で、疲労回復にはいいかもしれません。
僕達急行 A列車で行こう (集英社文庫)
この小説の場合は映画の方が原作になるので、気になる方はまず何はともあれ映画を観ることをお勧めします。
まあ、内容はほぼ映画に沿って展開されるので、評価はイコール映画の評価ということになりますよね。それで
『僕たち急行』を記憶に留めたいと思ったら手にとれば良いのではないでしょうか?値段も最近の文庫本にしては
比較的良心的ですし。
映画のようにガンガンと電車が出てくる訳では無いですが、映像でうっかり見逃したり、勘違いしていた人間関係や
心理描写などがおさらいできるので、純粋にお話として楽しめると思いますよ。個人的には小町くんと小玉くんの
不思議な共同生活のシーンなどは、何となく好きです。
まあ、映画で指摘されているとおり、話としてはうまくいきすぎるきらいはありますけど、昨今流行った裏切りや人間
の汚さ、他人を信用しないことを強調する作品ばかりでは、あまり良いニュースの無い世情とシンクロしすぎて、自分の
心まで荒廃してきそうなので、たまにはこんな安心できる作品も必要なのではないでしょうかね。
電車云々が注目されがちな作品ではありますがそればかりではなく、私としてははこんな人間ドラマもありかなと結構
楽しみました。