ディヌ・リパッティの芸術
リパッティは文字通り夭逝した天才ピアニストである。
その人生は33歳で幕を閉じたが、彼の遺した芸術は未だに愛されている。
ショパン、モーツァルト、バッハなどなど。どれを聞いても天才の名をほしいがままにしていたリパッティの演奏である。
みずみずしい響きで珠を転がすような自然な運指法。
そして、それぞれの曲の真髄に迫る深遠な解釈。
やはり天才だ。
ノイズがどうとか録音がどうとかいう問題、次元をはるかに超越している。
いつまでもそばに置きたいCDである。
ディヌ・リパッティ 伝説のピアニスト夭逝の生涯と音楽
ピアノを愛する者であれば、ディヌ・リパッティを知らな者はいないほど、有名な演奏家である。
その伝記を過不足なく初めて紹介する秀本である。原語(ルーマニア語)の資料から作出された点も他に追随を見ない。
Icon: Dinu Lipatti
完璧な技術を持っているが、それを全て音楽の自然な流れと歌に注いでいる。
ブザンソンライブのライナーにも書かれているように、決してヴィルトォーゾではない。
かと言って職人性も感じないし・・・彼から感じるのはただただ音楽そのものである。
あえて言うなら詩人というのがしっくりきそうだが、それも躊躇われるほどの崇高さ。
自己の表現はほぼしなかったけども、唯一無二といって差し支えない。まさに偉業と言える。
しんどい時は、必ず彼のバッハを聴きながら眠りにつきます。
音楽好きでこのセットを買わないという選択肢はありません。