にや(スペシャルパッケージ限定盤)
このバンドに出会ったのは2年ほど前のデザインフェスタにおけるミニライブにて。常識では考えられないほどの至近距離で「牧場のオジサンの娘」のイントロを聴いたときのことが忘れられない。
こうやってスタジオ録音のCDになってしまえばその印象は「可愛げな小物」な訳だけれども、ライブでの再現度はほぼ100%、逆に言えばライブの音をそのままCDに収めてくれたその心意気に乾杯。「牧場のオジサンの娘」のあのスピード感も、素晴らしい間の取り方も、音の抑揚も、そのままライブの雰囲気がCDに再現されている。そしてライブハウスでは、きっとこのCDそのままの音が熱気と共に聞こえてくるはず。
おそらくジャズがその基盤にあるドラマーの手数の多さとスピード感は驚異的だし、ベーシストは恐るべき超絶技巧の持ち主、ギタリストは卓越したセンスで音色を創り、ヴォーカリストは忙しくアコースティックギターを弾きながら不思議な世界を歌い上げる。
そして皆、もう羨ましいくらいにカッコいいんだこれが。
出来上がってくる音は全く違うけれど、演奏の光景は、あのRUSHを髣髴とさせた(実物見たことないけれど)。
ちと残念な点は、キャッチーで長い曲が少ないこと。小物が多いので収録時間もコンパクトに納まっている。このバンドの本分はライブにあると思うので、もし運良く首都圏に住んでいるならライブに足を運んでみるのがお勧め。そこで自主制作版の二枚、ソフトで幻想的な「水の指揮者」、ソリッドでハードな「鍵盤」も是非購入して聴いてみよう。