Odessey & Oracle
地味な奴等が凄い作品を作っても、案外無視されがちなのである。仮に異常な奴等がまぁまぁのものでも作れば、ええっ! ってな意外性で周囲の関心事になるものだ。例えばアホの坂田が割りに上手に盆栽を育てていれば、「おおっ、凄い!」ってなもんで、テレビなんかでもワイワイ騒がれるだろうが、岡本信人が玄人はだしな素晴らしい盆栽を育てても、なんだかワイワイ騒ぐのも面倒だし、馬鹿馬鹿しい。このゾンビーズの名作はそんな岡本信人の玄人はだしの盆栽のような儚さがある。『ペット・サウンズ』や『サージェント…』と並ぶとはいえなくとも、ストーンズの『アフターマス』と十分にタメを張れる60年代の重要なアルバムなのだ。しかし当時も今もどうにも存在が薄いのはゾンビーズの持つ岡本信人性だろう。このアルバムを聴き、その素晴らしさを十分に理解できたら、今後は岡本信人も暖かく見守られる目を持つことができるようになるだろう。つまり人に優しくなることができる作品なのだ。
Odessey & Oracle
「2人のシーズン」というヒット曲の故に多分今後も繰り返しコマーシャルで使われ、その度に再評価されるという極めて珍しいポジションを占めることになったゾンビーズ。コリン・ブランストーンとロッド・アージェントがいた時から注目し続けていた私だけに複雑な気持ちですがまあ素直に嬉しいですね。ビートルズのサージャントもどきというアルバムはこの世に沢山出ました。ストーンズもホリーズもフランク・ザッパもビーチ・ボーイズも作りました。その路線ともいえるこの「オデッセイ・アンド・オラクル」はそれぞれのファンの方には悪いですが一番いい出来かも知れません。ポップでありかつ曲の構成に深みがあって、残念ながらそれほどの評価を当時得られなかったのが残念です。
Singles A's & B's
ゾンビーズ、ベストものはMONO、リミックスといろいろ出てますが単純に曲順だけでいくとこのアルバムがベスト。
リリース順にA面が続く前半は怒濤の必殺メロディのオンパレードで息つく間なし。同時にこのバンドのヒット狙いの紆余曲折が伺えるが、これだけの名曲郡が全く売れなかったという事実には驚かされる。2枚目に"TELL HER NO"をリリースしていれば運命は変わっていたのかも。
後半はゾンビーズのルーツ的R&Bテイストをじっくり味わえます。