マヤ、ある犬との別れ
まず文章が美しい。詩集のように綴られたマヤとの最後の日々がキラキラと語られている。
マヤの最後を見届けるため、ずっと一緒に過ごすため、著者は仕事も手放し、人付き合いも捨てしまう。ただマヤが苦しまずに逝くことのみを神に祈る。犬との特別な絆は時として親子や兄弟のそれを超える。人はそれを見て「たかが犬じゃないか」と笑うかも知れない。しかし著者はきっぱり言うのだ。マヤの無償の愛に応えるためなら仕事や友人づきあいなどとるに足りないことなのだと。
美しい文章で一人と一匹の固い絆を静かにやさしくつむいだ佳作。