オペラCDこの一枚~99トラック+1=100いいとこ取り
一時間で60作品のオペラの聴き所と、一世紀近く前の歌手から現代の歌手までをちょこちょことつまみ食いしていくような感じのCD。悪く言えばごちゃ混ぜですが、オペラを聴く幅を広げるにはなかなかおもしろいと思います。それにしても歌手の名前がしっかりと書かれているのに、一声も出てこない間に終わるのはちょっとひどいです(笑
海を飛ぶ夢 [DVD]
「死」をあらゆる立ち場の目線から穏やかつ真摯に描いた作品。
四肢障害で寝たきりのラモンは見た目は可哀想かもしれないが、理解ある家族、
協力者にも囲まれて幸せなんじゃないか、そのまま生きていってもいいじゃない
かと思ったが、彼が望んだのは四肢の自由ではなく、心の自由(開放)だったのかと。
多くの人が毎日訪れ楽しそうであるも、会いたくない時そこから逃げられない。
人に見せたくない気持ちも物も自力では隠せない。
そんなラモンが一人の時思い描く、空を飛び森を抜け海に出る妄想は美しくも切ない。
温かい家族にもそれぞれ未来があり、年を取り、生活していかなければいけない。
それを何もできず寝たきりで見つめ続けるラモンの辛さ。
逆に彼を愛しているけど正直疲れ切っている家族の辛さも痛く伝わってくる。
『尊厳死は自殺とは違う』それをしっかり見せつけようと確固たる覚悟を持ち用意周到に事を
進めるラモンの必死な姿を見て、それは決して安易で容易なことではないと思い知らされた。
しかしながら、スペイン映画だけあって暗く重たいだけの内容になっていないのがお見事。
海を飛ぶ夢 (翔年たちへ)
30年に渡り四肢麻痺の生活。生きる意味を問い続けた結末・人生の終止符を自分の意思で打つ「尊厳死」を希求したスペイン人・ラモン・サンペドロの実話。
生死とは・・・生きる価値、自由、愛、家族の介護、様々な問いを投げかける問題作。
本人が口にペンをはさんで書き溜めた手記の発表なので、ストーリーが分かりづらいですが、どの言葉も本質的な問いを投げかけ、胸に迫ります。本を読んで、映画を観て、また本を読み返しました。
映画も素晴らしく一人でも多くの人に見てもらいたい作品ですが、合わせて本も読むとさらにその奥深い思想への誘いがあります。
書籍だけではペドロが長年に渡り哲学や詩作を好み、思索してきた結果求める尊厳死(魂の解放)にフォーカスされ、それにまつわる裁判や社会への批判が書き連なれており、やや辟易してしまうかもしれませんが、そこに至るまでの過程を想像し、映画などで描かれているプロセスや人間性などを感じられると、また違った角度から本を感じられます。
ぜひお奨めです。読んでみてください!!
海を飛ぶ夢 [DVD]
“尊厳死”に、真正面から取り組んだアレハンドロ・アメナーバル、渾身の力作。ハビエル・バルデムが、圧倒的存在感を見せる。28年もの間、四肢麻痺障害を患うラモンの、尊厳死を望むその意志は明確だ。宗教的倫理感から、彼に生きる希望を促す同じ境遇の神父を罵倒し、彼を慕い、私の為に生きて欲しいと懇願する女性に対しても、好意を持ってくれるのであれば、死への旅立ちを理解し、協力してくれる筈と突き放す。ある意味、頑迷とも言うべきその態度は、きっと、彼が、誰よりも生きる事の喜びや素晴らしさを知っているからこそに他ならない。劇中、何度もインサートされる彼の心象風景である“海”の、澄み切った美しさといったら、、、。それだけに、人が生きていく事は“権利”の行使であるが、自分にとっては“義務”でしかないとのラストの言葉は、重く、辛い。介護する家族、支援者、そして、同様の悩みを持ちながら、死への恐怖か、夫への背信に対する逡巡か、彼との旅立ちをやめるフリアを含め、ラモンを取り巻く人々の考え方も、皆、納得できる。私の周りには、幸いにして、この様な境遇に置かれた者はいないが、自分ならどうするか、誰もに突きつけられた問題だ。支援グループのジェネが、「計画」を電話で聞かされ、ラモンから別れの挨拶を告げられた時、思わず口走ってしまう気持ちこそ、真実だと思う。