流されて… デジタル・リマスター版 [DVD]
女性が映画を撮る事がまだ極めて稀であった70年代に、リナ・ウェルトミューラーは、「愛の嵐」のあのリリア―ナ・カバーニと並んで、イタリアの女流監督として名声を得ていた人物だ。
上流階級の富豪の妻とその使用人である粗野な男との、皮肉な道行の果ての愛欲の顛末。ブルジョワの共産党シンパを気取るスノップな女と無学な労働者階級の男が、それぞれのバックグラウンドが通用しなくなってしまった先での本能に趣くままの根源的な愛欲、なんてまどろっこしい表現をやめるならば、ただひたすら無人島でヤリまくるお話。
通俗的価値観など意味がなくなり、支配被支配、従属が逆転する。今作を初めて観たのはまだ10代であったが、官能の惑溺の如き展開に、こんなシチュエーションで男女ふたりが漂流してしまったら、やっぱりこうなるものなのねと夢想した事が懐かしい(笑)。
多分にSM的だし、フェミニストには到底受け入れられない世界かと思いきや、、、。この決着の付け方は、いかにも女性監督らしい。
今見直すと、ハード・コアと呼べる描写はないが、ジャンカルロ・ジャンニーニとマリアンジェラ・メラートが発散させる濃厚な猥雑さは強烈だ。
惹句に、“70年代シチュエーションドラマの代表作”との言葉。確かに、典型的なシチュエーションではあるなぁ。
【初回限定生産】ファイナル・デッドブリッジ 3D & 2D ブルーレイセット(2枚組) [DVD]
現在、公開されている最中なので内容には触れません、
やっぱり、DVD版はもとよりBD版とかもリリースされるんでしょうね、
前作 デッドサーキットのBD版では3D色眼鏡が付いていましたが、
色メガネ方式しか現状立体楽しむ手立てはないのでしょうかねぇ・・
映画館の立体メガネはさほど違和感ないのですが、、色メガネだったら・・買わないかも
【初回限定生産】ファイナル・デッドブリッジ ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]
「ファイナル・デッドブリッジ」ねぇ…。
タイトル付けるのも大変だわ。
Sawと並ぶ人気(?)シリーズの第5弾。
1作目を見た時にそれまでになかった斬新なアイデアに感心した覚えがあります。
宗教倫理や生身の殺人鬼といった制限から解放された一種のゲーム感覚は広く受け入れられる可能性を感じさせました。
しかし、シリーズが進むにつれ映画の展開そのものが「ゲーム的」なものになってしまい、悲惨な「死」を陳列するだけになってきたのも事実。
結果的にインパクトを失ってまいりました。
ところがこの第5弾、ちょっと雰囲気が違います。
工事中の橋での悲惨な事故を逃れた人々に「死」が忍び寄る展開はこれまで同様。
今回もバンバンとテンポ良く(?)生き残った人たちが命を落として行きます。
「死」には姿も形もない訳ですが今回はちゃんとその忍びよる雰囲気が描かれている点も気に入りました。
つまりシリアス度が高い点が本作の特徴ですね。
導入部での惨事が起きるまでにじっくりと登場人物たちの「日常」を描く辺りにもその特徴がよく出てました。
本シリーズの難しさは生存者たちの「ドラマ」を展開しにくい点にあると思います。
本来、この設定だと「悪人」も「悪意」もスパイスとして利用できないわけです。
登場人物たちは特段に「罪がない」にも関わらず悲惨な死を迎える訳で物語自体を飽きさせず、観客の関心を失わないようにするのは実は難しいと思うのだが
今回は健闘しております。
ある新たな「ルール」が提示されたことで生存者たち同士の間での物語の濃度が若干ではありますが濃くなっております。
盛り込まれたアイデアは他にも見られます。
その最たるものはラストのケリの付け方でしょうが、これは全く想定外でした。
ヒントが散りばめられてはおりましたが気付かなかったなぁ。
ちょっとズルイ気もするが、悪くないと思いました。