ペザンツ、ピッグス&アストロノウツ
UK出身ロックバンド、クーラ・シェイカーの2ND。はっきり言って、このアルバムはすごい。一種のコンセプト・アルバムであるが、その一貫した姿勢、統一感(カヴァー・ワークも含めて)が素晴らしい。サイケデリック、インド音楽というキーワードが浮かんでくるが、安易に理解できないかもしれない。ただアルバムを通して聞いていると、なんらかの世界が、聞く手によってイメージされる。音楽的には、民族楽器の導入や、ホーンの導入、サイケデリックなコーラスワーク、効果音など、一つ一つの音を緻密に練り上げて行く。よくぞここまでこだわり、作り上げたという感じ。この後、解散してしまうのだが、作品の完成度を考えると、妙に納得してしまう。
ピルグリムス・プログレス
クーラ・シェイカーの最新アルバムとあって期待して聴いたが、それを裏切らない素晴らしい内容になっている。ぐっと奥行きが増した音像にはアルバムを通して何度も唸ってしまう。特にピーターパンRIP(このPVがまた渋い!)〜オフィリアへと続く美しさは、単なる英国らしさやサイケデリアの現代的再現を超えてロックの名曲の域に達しているし、これらに含まれる諦念と地に足が着いたファンタジーは、「K」の頃の若さでは書けなかった曲だろう。惜しむらくはなぜ前作の前にこれを作って出さなかったのか?ということ。リヴェンジ・オブ・・EPの時も同じ事を考えたが、他の同年代の英国バンドが逆立ちしても敵わない作曲の才とスターとしての華があるのだから、焦らなくとも必ずや一撃必殺のアルバムは作れるにちがいない。すなわち本作がそれ。PVやライヴでもミルズは全く年齢を感じさせないし、バンドも成熟した重みが好ましい。「フィギュア・イット・アウト」が唯一インド的。あとは全体的にペニーレインの頃のビートルズ、オグデン・・・当時のS.Facesや勿論フロイド辺りが元ネタだが、全く自分のものになっている。というか同等だ。これはクーラをアイドル視しているリスナーにこそ聴いてほしい逸品だ。次の作品もじっくり時間をかけて最高のもの届けてほしい。本作は個人的に2010年のベスト・ロック・アルバムに数えたい。騙されたと思って聴いてみてください。
K
1996年に発表された、《クーラ・シェイカー》の傑作アルバムです。ヒンズー教神秘主義と、ロックンロールの融合というのが、アルバム全体のコンセプトですが、作品それ自体は、理屈抜きで格好よい、超POPなロックンロール・アルバムに仕上がっています。今聴いても、最高に楽しくて、最高に格好よいです。理屈抜きで楽しみたい人にオススメの、90年代UKロックの《マスターピース》です。